温湿度計データロガーのおすすめ5選!Wi-FiやUSB接続の違いを分かりやすく解説

温湿度計のデータロガーは、温湿度の変化をデータで残せる便利な測定器です。

しかし、初めて温湿度計データロガーを使用する人にとっては、上手に使いこなすのが難しく、商品選定も難しいです。

この記事では、おすすめの温湿度計データロガー5選と、使用する際の注意点をわかりやすく解説します。

あなたの使用環境に最適なデータロガーを選べるようになるので、ぜひ最後までご覧ください。

管理人
この記事は、測定機業界で10年以上温度計を提案してきた管理人が執筆しています。

おすすめの温湿度計データロガーとは

温湿度計のデータロガーとは、温湿度の推移をデータで記録でき、グラフ表示も可能な測定器です。

製造の品質を管理したり、輸送中の異常をなくすためなどに使用されたりします。

近年の製造現場では、さまざまな数値の管理が必要となっています。さらに、管理するだけでなく、客先に証明する必要もあるため、温湿度の推移をデータで客観的に証明することが重要です。

そのため、温湿度計のデータロガーの重要性は、年々高まっています。

温湿度計データロガーのおすすめの選び方

温湿度計データロガーは、データの取り込み方式や測定範囲が重要です。

ここでは、温湿度計データロガーのおすすめの選び方を解説します。

データの取り込み方式で選ぶ

温湿度計データロガーは、温湿度のデータをパソコンに取り込む必要があります。

温湿度データロガーの本体から、パソコンにデータを取り込む方法は、以下のように複数あります。

  • USB接続:本体とパソコンを直接つなぐ
  • 無線接続:Bluetoothや特定小電力無線
  • クラウド:クラウドに保存してパソコンで数値を確認する

USB接続は、温湿度計データロガーとパソコンを直接USBで接続する方法です。手間のかかる設定が少なく、他の方法と比べて手軽にデータを取り込めます。

しかし、データを取り込むたびに温湿度計データロガーを持ち運ぶ必要があり、移動に時間を取られてしまうデメリットがあります。

無線接続は、Bluetoothや特定小電力無線・Wi-Fiなどで温湿度計データロガーとパソコンを繋ぎます。リアルタイムで温湿度の数値を確認でき、アラームにも対応しているため、とても便利な接続方法です。

ただ、厚い壁や扉があると電波が届かずに、通信できないケースがあります。子機を設置して電波の飛距離を伸ばすこともできますが、子機の数にも制限があり、費用もかさんでしまいます。

クラウド接続は、温湿度のデータがクラウドに保存され、パソコンやスマートフォンから閲覧できます。移動中や外出中にも数値を確認できることがメリットです。

ただ、温湿度計データロガーを設置する場所にWi-Fiが飛んでいることが利用の条件です。

どの接続方法にもメリットとデメリットがあるため、あなたの使用環境に適した接続方法を選んでください。

測定範囲で選ぶ

温湿度計データロガーの測定範囲は、機種により異なります。

一般的には、0~50℃ほどで、多くの製造現場に耐えられる測定範囲になっています。

また、低温対応モデルは-25℃くらいから測定できる製品もあり、冷蔵庫や冷凍庫でも使用可能です。

測定範囲外で使用すると、数値がエラー表示になり、測定できなくなってしまいます。センサーの寿命も早まってしまうため、使用環境に合わせた温湿度計データロガーを使用しましょう。

データの保存可能数と記録間隔

本体に温湿度データを保存する製品の場合、データの保存可能数に上限があります。

データ保存数の上限に達すると、記録が自動停止する製品が多いので注意しましょう。

記録できる時間は、記録間隔により変わります。

例えば、10,000データを保存できる製品の場合、1秒間隔で記録すると、10,000秒でデータ数は上限に達します。1分間隔で記録すれば、10,000分です。

保存可能数と記録間隔から何日間の放置が可能か判断してください。

なお、無線通信であれば本体にデータを記録する必要がないため、記録可能時間を気にする必要はありません。

使いやすさ

温湿度計データロガーには、シンプルなものから、多機能なものまでさまざまです。

管理者だけでなく、現場の作業者やアルバイトなど多くの人が使用する場合は、シンプルな製品がおすすめです。

複雑な温湿度計データロガーは、使用方法が難しく、誰でも扱えるわけではないためです。

多くの機能が付いていても、実際にすべての機能を使用することはありません。

いろいろな人が扱えるように、使いやすさも重視して選んでください。

温湿度計データロガーが使用される場所

温湿度計データロガーは、食品工場や製薬工場など、さまざまな場所で使用されています。

ここでは、温湿度計データロガーが使用される場所について解説します。

食品工場

食品工場は、温湿度計データロガーがよく使用される場所です。

食品は冷蔵庫や冷凍庫で保管中に異常な温度になると腐ってしまい、クレームの原因になるためです。

例えば、食品の輸送中に温湿度のデータを記録しておけば、納入後にクレームが入ったとしても、輸送に問題がなかったことを証明できます。

近年は、HACCPの導入により、さらに厳格な温湿度管理が求められています。

製薬工場

製薬工場では、医療品の適正流通(GDP)ガイドラインに基づいて、厳格な温湿度管理が実施されています。

薬の開発から製造・輸送まで、多くの温湿度計データロガーが使用されています。

ただ、GDP対応のデータロガーを求められることもあるため、データロガー選びには注意が必要です。

農業のビニールハウス

農業ではビニールハウス内の温度を管理するために、データロガーが使用されています。

ただし、水が掛かるため、防水仕様のデータロガーが必要です。

湿度計が付いていると防水仕様は難しいため、温度計のみのデータロガーを使用する場合もあります。

美術館

美術館では、展示品の劣化を防止するために温湿度計データロガーが使用されています。

美術館の展示品はさまざまなジャンルがありますが、温湿度の影響を受けやすく、変色や腐食が発生する可能性があります。

異常な温湿度を検知したらアラームで知らせて、美術館の学芸員が適切に対処しています。

温湿度計データロガーを使用する際の注意点

温湿度計データロガーは、温湿度変化の少ない場所に設置して、電池寿命も管理する必要があります。

ここでは、温湿度計データロガーを使用する際の注意点を解説します。

温湿度変化の少ない場所に設置する

温湿度計データロガーは、温湿度変化の少ない場所に設置してください。

温湿度変化の大きい場所は、安定したデータを取りづらく、不正確となるためです。

温湿度変化の大きい場所は、以下の通りです。

  • エアコンの風が当たる場所
  • 出入りの多いドアの近く
  • 開いている窓の近く
  • 熱を持つ機械の近く

上記の場所を避けて設置すれば、安定したデータを計測可能です。

電池残量を管理する

温湿度計データロガーは、長期間にわたり使用するため、電池残量があるか定期的にチェックしましょう。

電池残量がゼロになっても内部のデータは残る製品が多いですが、測定は止まってしまいます。

無線接続するデータロガーは、パソコンの画面に電池残量が表示されるので、ゼロになるまで気づかないケースは少ないです。

USB接続型のデータロガーは、設置場所で確認する必要があるため、いつの間にか電池残量がなくなっていることがあります。

1か月に1回など周期を決めるか、データをダウンロードする際に確認するなど、電池残量の確認周期を決めておくといいでしょう。

定期的に校正をする

温湿度計データロガーは、使用しているうちに少しずつ測定値の精度が落ちていきます。特に湿度はセンサーにホコリが付着すると、実際の値よりも低く表示されてしまいます。

精度の悪い状態で使用すると、測定値の信頼性がなくなり、温湿度が問題なかったことの証明に使用できません。

定期的に社内の標準機と比べたり、メーカーに校正に出したりして、精度の良い状態で使用しましょう。

データ測定の間隔を決める

温湿度計データロガーは、データ測定の間隔を自由に設定できます。

多くのデータロガーでは、1秒~90分までの間で設定できるのが一般的です。

1秒間隔で測定すればよいと思うかもしれませんが、測定間隔が早いと電池の消耗が激しく、保存容量もすぐに上限になってしまいます。

温湿度の変化が少ない場所であれば、30分や1時間間隔でも問題ありません。

使用する環境に合わせて、測定間隔を決めてください。

おすすめの温湿度計データロガー5選

ティアンドデイ/おんどとり TR72A2

メーカー㈱ティアンドデイ電池単三アルカリ電池×2
測定範囲温度:0~50℃ 湿度:10~95%rh記録容量30,000×2ch
接続方式USB・Bluetooth・クラウドその他警報機能あり

おんどとりは、温湿度計データロガーの元祖であり、使いやすさに定評があります。

TR72A2の接続方式は、USB・Bluetooth・クラウドの3種類が揃っていて、さまざまな使用場所に適用可能です。

測定範囲は、温度が0~50℃、湿度が10~95%となっていて、一般的な環境であれば問題なく使用できます。

ソフトウェアも使いやすく、複数データの読み込みや結合・グラフへのコメントなど、便利な機能が付いています。

温湿度計データロガー選びに迷ったら、おんどとりを選べば間違いないでしょう。

テイアンドデイ/おんどとり TR72A2-S

メーカー㈱ティアンドデイ電池単三アルカリ電池×2
測定範囲温度:-25~70℃
湿度:0~99%rh
記録容量30,000×2ch
接続方式USB・Bluetooth・クラウドその他警報機能あり

おんどとり TR72A2-SはTR72A2の上位モデルで、測定範囲が広がっています。

温度の測定範囲は-25~70℃、湿度は0~99%です。冷凍庫の中や湿気の多い調理場など、さまざまな場所で温湿度を記録可能です。

また、精度は温度が±0.3℃、湿度が±2.5%(測定値により異なる)と高い品質を誇ります。

TR72A2では測定できない環境があれば、このTR72A-Sを選びましょう。

藤田電機製作所/表示付温湿度データロガーKT-255U

メーカー㈱藤田電機製作所電池コイン型リチウム電池CR2477×1個
測定範囲温度:-40~80℃
湿度:0~99%rh
記録容量32,000件×2ch
接続方式USBその他防水防塵IP54

KT-255Uはコンパクトなスティック型で、設置に場所を取らない温湿度計データロガーです。

防水防塵性能がIP54なので、水の飛沫が当たっても問題ありません。食品輸送中で水滴が付いているボックスの中にも設置可能です。

-40℃から測定可能で、冷凍車にも設置できます。

もちろん、工場などの製造現場にも設置できますが、接続方式がUSBのみなのでリアルタイム監視はできないので注意しましょう。

低消費電力の設計になっていて、電池寿命は約3年。電池交換の手間を少なくできるのも嬉しいポイントです。

HIOKI/温湿度ロガーLR5001

メーカーHIOKI(日置電機)電池単三アルカリ電池×1本
測定範囲温度:-40~85℃
湿度:0~100%rh
記録容量60,000件×2ch
接続方式USBその他防水防塵IP54

HIOKIのKR5001は、記録を停止しないで電池交換できる温湿度計データロガーです。電池を外しても約30秒間は、記録を継続します。新しい電池に交換すれば、そのまま継続して記録が可能です。
データ記録を1回でも途切れさせたくない人におすすめです。

記録間隔を長くした際に細かな変化を捉えるために、統計値記録モードが付いています。統計値記録モードは、記録間隔の間の変化(最大値・最小値・平均値・瞬時値)を記録できます。統計値記録モードにより、瞬間的な異常値も検知できるでしょう。

出典:HIOKI電気公式サイトより

A&D/AD-5696

メーカーA&D電池単三アルカリ電池×3本
測定範囲温度:0~50℃
湿度:20~90%rh
記録容量SDカードの容量による
接続方式SDカードその他ACアダプター使用可能

A&Dの温湿度計データロガーAD-5696は、SDカードにデータを記録できます。
記憶容量はSDカードにより異なりますが、1GBのSDカードであれば30年以上のデータを記録可能です。また、電源は電池だけでなく、別売りのACアダプターも利用できます。
また、温湿度計データロガーには珍しく、熱中症暑さ指数(WBGT指数)の記録も可能です。
高温になる製造現場や体育館などでも利用できます。

まとめ:温湿度計データロガー

温湿度計データロガーとは、本体に温湿度の数値を記録して、パソコンやスマートフォンなどでデータを確認できる測定器です。
製造現場や食品の輸送中の温湿度管理など、幅広いジャンルで使用されています。

温湿度計データロガーを選ぶ際は、データの取り込み方式をチェックしましょう。Wi-FiやUSB・クラウドなど、複数の取り込み方式があります。
また、あなたの使用環境に適した測定範囲や、データの保存可能数も事前に確認してください。

温湿度計データロガーは、食品工場や製薬工場・ビニールハウス・美術館などで使用されています。
それぞれの使用場所で必要とされる機能は異なります。今回のおすすめ温湿度計データロガーを参考にして、あなたに最適な製品を選んでください。