水俣条約とは
血圧計や体温計、温度計などで水銀はよく使われていますが、実は水銀を使った製品の製造が難しくなっていることをご存じでしょうか?
それは2017年に発効した水俣条約によるものです。
水銀は人体への悪影響が非常に大きく、特に発展途上国においてはかなりの被害を出していました。
そのため、国連環境計画が水銀による被害状況やリスクを調査し公表しました。
その流れから世界各国でも水銀禁止への意識が高まり、水銀の公害による被害が出て熊本県水俣市において「水銀に関する水俣条約」が採択されました。
それでは食品に関するものではどのような製品が作れなくなっているのでしょうか。
水俣条約により禁止された製品は
まず、水銀と聞いて思い浮かべるのは水銀ガラス温度計ではないでしょうか。

水銀ガラス温度計は一目盛りが0.5℃以下のものは製造禁止となりました。
つまり、一目盛り0.2℃や0.1℃のものはこれまで通り製造が出来ます。
なぜ目盛りが細かいものだと製造できるかというと、他の製品では代替が出来ないからです。
例えば、アルコール温度計の場合はそこまで細かい目盛りにしても、精度が良くないので意味がありません。
アルコールに比べると水銀は精度よく測れるので、0.2℃や0.1℃のような細かい目盛りの温度計を作るには欠かせません。
つまり、水銀製品の製造が禁止になったといっても、すべてについて禁止されたわけではなく、他の製品で替えがきかないものについては製造が許されているんですね。
そしてもう一つ大事なことは、禁止されたのは製造と輸出のみです。
つまり、販売するのは問題ないですし、これまでに保有していた水銀ガラス温度計を使い続けるのも問題はありません。(あえて使い続ける意味もあまりないのですが・・)
ちなみに、今の若い人は知らないかもしれませんが昔は体温計も水銀で出来ていました。
今でもたまに見かけることがありますが、この水銀式の体温計も製造禁止となります。
今では非接触の体温計や電子式の体温計が普及していますので、わざわざ使いにくい水銀の体温計を使う意味はないので、ほとんど影響は出ないでしょう。
水銀製品を使う意味は無くなってきている
他の製品で代わりがきかないものは今後も製造できると書きましたが、実際は代わりがきかないという状況はとても少ないです。
例えば温度計の場合は、水銀はアルコールに比べると精度が良いですが、デジタル式の測温抵抗体温度計でしたら水銀以上の精度を出せます。
また、体温計も電子式のものであれば、水銀式よりも早く正確に測れます。
温度計以外の水銀製品についても同じようなことが言えるでしょう。
上記の事から、特に人体への混入の可能性も考えられる食品関係では水銀を使う意味はなく、悪影響しか及ぼさないといってもいいでしょう。
大手の食品工場では工場内に水銀の持ち込みを禁止しているところがほとんどです。
現在では水銀製品を使っている工場は少ないでしょうが、昔ながらの町工場などでは水銀温度計を何本か持っていても不思議ではありません。
水銀の危険性を再認識して、もし持っているようだったらすぐに廃棄するようにしましょう。