衛生管理の基本、中心温度ってどうやって測るの?図解解説もあり!

HACCPの義務化により、中心温度測定の重要性がますます高まっています。

しかし、これまで中心温度測定をしたことが無かった人にとっては、中心温度とはどのようなものか分からない人も多いはず。

そこで今回は、中心温度はなぜ測定するのか、どのような温度計を使ったらいいのかを解説します。

管理人
この記事は測定機業界で10年以上温度計を提案してきた管理人が書いています。

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衛生管理の基本中心温度ってなに?

中心温度とはその名の通り、食品の中心(真ん中)の温度です。

例えばハンバーグを焼くときに表面は焼けていても、ハンバーグの中心まで焼けているか見ただけでは分かりません。

厚みのあるハンバーグの場合、切ってみたら中がまだ真っ赤だったという経験があるのではないでしょうか。

そんなときに温度計を使って温度を測定すれば、中心まで火が通っているか分かります。

中心温度は基本的には、食材の真ん中に温度計を挿して測定します。ただ、厳密な位置が定められているわけではありません。

基本的に3か所の中心温度を測定します。これは焼きムラなどにより生焼けがないかを調べるためです。

何で中心温度を測るの?

中心温度を測定は食中毒を防ぐことが一番ですが、普及したのは厚生労働省から通達が出たためです。

厚生労働省が発表している大規模調理施設衛生管理マニュアルで、

「 中心部が75℃ で1分間以上(二枚貝等ノロウイルス汚染のおそれのある食品の場合は85~90℃で 90秒間以上)又はこれと同等以上まで加熱されていることを確認するとともに、温度 と時間の記録を行うこと 」

と定めています。

大規模調理施設とは 「同一メニューを1回300食以上又は1日750食以上を提供する調理施設 」と定義しています。

例えば、学校給食の調理施設がこれに該当します。

1990年代に学校給食でO-157により複数の児童が亡くなった食中毒が発生しました。この件がきっかけで、中心温度計は爆発的に学校給食に普及しました。

そこから民間にも中心温度の概念が広がっていき、今ではある程度の規模の食品工場で中心温度計を使っていないところはないでしょう。

【初心者向け】大量調理施設衛生管理マニュアルとHACCPの関係を分かりやすく解説

どんな温度計を使って測定するの?

中心温度の測定をしたことがない方にとっては、どうやって食品の真ん中の温度を測定するのか想像がつかないのではないでしょうか。

表示部とセンサーが一体になった中心温度計

答えは簡単で針状のセンサーを食品に刺して測定するだけです。例えば下記のような温度計を使います。

こちらはA&Dの中心温度計です。

針状のセンサーが付いておりその上に温度の表示部があります。このようにセンサーと表示部が一体になっているものは比較的簡易な中心温度計です。価格的にも安価です。

ただ、中心温度計は冷凍されているような固い食材にも挿すことがあり、耐久性があるものが好ましいです。

このような一体型の温度計はセンサーと表示部のつなぎ目には樹脂を使用しているため、耐久性は高くありません。

消耗品だと思って、壊れたら買い換えると認識しておいたほうがよいでしょう。

表示部とセンサーがコードで繋がっている中心温度計

こちらは佐藤計量器製作所のSK-270WPです。センサーと表示部がコードで繋がっています。

コードがあることで今何℃かという表示を手元で見ることができます。

先ほどのような一体型の場合はセンサーと表示部が一体になっているため、食材への刺し方によっては表示部が見にくいこともあります。

また、センサー部から持ち手の部分までステンレスでできているため、耐久性は高いです。

タイマー機能やMAX.MIN表示、レコード機能など一体型には無い豊富な機能が付いていることも特徴です。

機能が豊富で使いやすいですが、金額は少し高めで2万円前後することが一般的です。

中心温度の測り方を図解

ここではイメージしやすいように、中心温度の測定方法を図解して解説します。

からあげの測定方法

からあげは十分な厚みがあるので、中心温度計のセンサーの先端がからあげの中心にくるように挿入しましょう。

からあげの中心にセンサーを当てたら、「75℃以上で1分間」になっているかを確認します。

大量調理施設衛生管理マニュアルでは、3か所を測定するとなっています。

一つ一つが小さいからあげを3か所測定してもあまり意味が無いので、からあげを3つ選んで測定するといいでしょう。

ステーキの測定方法

ステーキもからあげと同じように、温度計を中心に挿して「75℃以上で1分間」を確認します。

ステーキの場合は大きさがあるので、真ん中・左側・右側と3点を測定しましょう。順番は特に決められていません。

薄いお肉の場合は、厚みが無いので中心温度を測定できません。その場合は測定したい場所にセンサーを押し付けて温度を測りましょう。

厳密には中心温度ではありませんが、実際の現場ではこのような測定方法がとられています。

中心温度の測定方法については、こちらの記事も併せてご覧ください。

その測り方は間違ってる!?正しい中心温度計の使い方とは

非接触温度計で中心温度は測定可能?

食品現場でよく使われる温度計には、中心温度計の他に非接触の放射温度計があります。

放射温度計は食材に触れないで測定できるので、非常に衛生的な温度計です。また、一瞬で測定できるので、忙しい現場にはとても嬉しい温度計です。

ただし、放射温度計で測定できるのは、食材の表面温度だけです。

中心の温度は測定できません。

配送されてきた食材がしっかり冷やされていたか・フライパンの温度確認などには便利ですが、中心温度は測定できないので覚えておきましょう。

おすすめの放射温度計については、下記の記事よりご覧ください。

【食品用】専門家が選ぶおすすめ放射温度計8選【非接触温度計】

衛生管理におすすめの中心温度計

CHINO MF500

メーカー CHINO 電池

‎交換不可 

電池寿命2500時間

測定精度 測定温度-9.9~99.9℃・・・±0.5℃±1digit
上記測定温度以外・・・±1.0℃±1digit
(周囲温度25℃において)
測定範囲 -40~260℃
防水 IP67 重量 60g

低価格で高い防水機能を持った中心温度計です。

測定速度が2秒なので、忙しい厨房でも短時間で測定が可能です。

電池交換ができませんが、2500時間の測定が可能なので問題にはならないでしょう。

また、1mの高さから落としても問題が無い、耐衝撃構造になっています。いろいろな人が使用する厨房では、落下して壊してしまうこともあるので、うれしいポイントです。

CHINO MF1000

メーカー CHINO 電池

‎006P乾電池(9V)×1

測定精度 ±0.5℃±1digit(周囲温度0~50℃において)
±1.5℃±1digit(周囲温度-10~0℃において)
測定範囲 -40~260℃
防水 IP67 重量 約165g

本体とセンサーがコードで繋がっているタイプの中心温度計です。

このタイプはオプションでセンサーが選べることが多いですが、MF1000はセンサーの種類が少ないのがデメリットです。

しかし、その他の部分は非常に優れていて、応答速度が2秒、防水性能はIP67、1mの高さから落下しても壊れない構造です。

また、測定精度は±0.5℃なので、厨房や食品工場で使用するには十分な性能です。

A&D AD-5626(ぷろーぶろぐ)

メーカー A&D 電池

‎CR2450リチウム電池×1

測定精度

±1.0℃(-9.9~59.9℃)

±2.0℃(-19.9~-10.0℃、60.0~99.9℃)
±3.0℃(-29.9~-20.0℃、100.0~199.9℃)

±4.0℃(-40.0~-30.0℃、200.0~260.0℃)

測定範囲 -40~260℃
防水 IPX7 重量 約66g

Bluetoothでワイヤレス通信が可能な中心温度計です。

パソコンにデータをCSVで送信できるので、HACCPにも簡単に対応可能。

中心温度測定中の時間を測るためのタイマー機能も付属しています。

佐藤計量器製作所 SK-270WP

メーカー 佐藤計量器製作所 電池

‎単4形アルカリ電池×2

測定精度

±(0.1+1digit)°C -40.0~200.0°C

±0.5°C  上記以外

※測定環境が0~40°Cの場合

測定範囲 -50.0~300.0°C
防水 IP67 重量 約155g

設定した温度を超えると自動でタイマーが作動して、設定時間になるとブザーやLEDで知らせてくれます。HACCPに特化した機能です。

また、センサーの種類な豊富なことも特徴です。

測定部分が長くて鍋の下の方も測定しやすいセンサーや鉄板即手用の平らなセンサーもあるので、いろいろな用途で使用できます。

以下のリンクでは、もっと簡易的な中心温度計も紹介しています。併せてご覧ください。

クッキング温度計おすすめ20選!プロが選定方法や使い方を解説

まとめ:中心温度計

食材の中心温度測定は、衛生管理のためにかせない作業となっています。

食材を中心まで加熱することにより、食中毒の可能性を下げられます。HACCPの義務化により中心温度の測定の重要性は、ますます増えていくでしょう。

正しい中心温度計の使い方を覚えて、しっかりと衛生管理をしていきましょう。