【徹底解説】温度計の校正はどれくらいの周期で行えばいいのか

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食品の現場で使用されるいろいろな温度計

食品を製造する現場では、中心温度計や放射温度計など、さまざまな温度計が使われています。

また、温度だけでなく湿度を測定する温湿度計などもあります。

 

それらの温度計は使っているうちに経年変化を起こし、精度が落ちてしまうことがほとんどです。

管理がしっかりしているところであれば、定期的に校正を行い精度に問題が無いことを確認しているでしょう。

今回は、温度計をどれくらいの周期で校正したらいいのか解説していきます。

校正の方法については下記の記事をご覧ください。

中心温度計の校正は絶対に必要?やらないとどうなる?
ガラス温度計を使った校正ってどうやるの?ガラスを厨房に持ち込んでも大丈夫?
放射温度計は自分で校正できる?日常の点検方法は
管理人
この記事は測定機業界で10年以上温度計を提案してきた管理人が執筆しています。

使用している温度計に合った校正の周期とは

温度計の校正周期をどれくらいにするかは、とても難しい問題です。

なぜ難しいかというと、使用している環により劣化具合が異なるからです。

例えば、使用頻度が違えば、数値のずれには違いが出てきます。

毎日100回使用する現場は劣化が早くなりますし、1週間に1回の現場では劣化は遅くなります。

また、保管や扱い方によっても差が出ます。

衝撃を与えないように使用したり、取扱説明書通りにメンテナンスを行っていれば劣化は遅くなります。

このように、さまざまな条件により劣化の具合は違ってきます。

そのため、校正の周期というのはメーカーが決めるものではなくて、使用している現場ごとに設定しなくてはなりません。

校正周期はメーカーが設定するものではなく、現場ごとに担当者が設定するものだと覚えておきましょう。

どのように校正の周期を決めたらいい?

それではどのように校正の周期を決めたらいいのでしょうか。

もし、これまでに長年温度計を使用していて、この温度計は〇年使っていると不具合が起こることがあるな、というデータや経験があるようでしたら、その年数よりも短い期間で校正を行えばOKです。

例えば2年くらいで不具合を起こすことが多いのであれば、1年や1年半で校正を行うようにしましょう。

 

温度計を使うのが初めてでデータが無い場合は、データを集めていただく以外にありません。

例えば、初回は1年に1回の頻度で校正をすると決めておいて、1年後の校正の時に不具合が出るようでしたら半年に1回にして様子を見ます。

その後半年に1回の校正の時に、不具合が出なかったら今度は9か月に1回くらいにしてみるという風に微調整をしていきます。

そして、あなたの使用環境に合った校正周期を見つけていく必要があります。

この様にしていけば、しっかりとした理論とデータに基づいた校正周期となります。

保健所の検査の時や、元請けの検査でもしっかりとした説明をすることができるでしょう。

少し時間はかかりますが、自分の環境に合った校正周期を見つけていくようにしましょう。

基準器として使用できる温度計

自社で校正をする場合は、標準器として使用できる精度の良い温度計が必要です。

日本計量器工業 標準温度計

みなさんも、ガラスに赤い液体が入った温度計は使ったことがあると思います。

これはその赤液ガラス温度計の精度が良いバージョンと思ってください。

標準温度計は50℃毎に区切られて製造されています。この標準温度計は0~50℃です。100℃付近も測定したいなというときは50~100℃を別に用意しなくてはなりません。

少し面倒ですが標準温度計のメリットは経年変化がとてもすくないことです。精度が±0.2℃ととても高いのに5年・10年と使い続けられるものです。

そのため以前から標準温度計は基準器として使われてきました。

ただ、デメリットもあります。

ひとつは先ほどの50℃刻みでしか製造していないことですが、もうひとつは素材にガラスと水銀が使用されていることです。

まず、ガラスは破損させてしまった際に飛び散り異物混入につながります。また水銀も体内に入ってしまうと悪影響があるので大手の食品工場などでは絶対に持ち込むことができません。

水銀は世界で規制が強化されており、水銀を使った製品の製造はかなり規制されています。標準温度計は水銀を使わないと他に代替ができないと言うことで製造が許可されていますが、時代の流れに合わないこともありだんだんと生産は少なくなってきています。

このような流れから近年ではデジタルの精度が良い温度計が人気となっています。

サーモポート PTサーモ プレミアム

こちらはサーモポートのピーティーサーモ プレミアムです。

まず測定精度が±0.15℃(0~200℃の測定)です。

これだけの精度があれば、基準器として使うのにまったく問題はありません。

また水銀も使用しておらず防水機能も付いているので、現場に持っていってもまったく問題ありません。

ただ、販売価格で7万円近くするので現場で毎日使用して消耗するのはもったいないです。必ず校正用としましょう。

7万円と聞くと高いと思われるかもしれませんが、これくらいの精度いい温度計では一般的な金額です。

この温度計にはPt100と呼ばれるものがセンサーに使われています。Pt100とはプラチナのことなのですが、非常に安定しており再現性も良く温度測定ができるので昔から高精度の温度計にはよく使われています。

まとめ:温度計の校正周期

温度計の経年変化は、使用環境などにより変わってきます。

普段使用している環境は、どれくらいで温度計が不具合を起こすのかを把握して、それよりも短い周期で校正をおこなうようにしましょう。

自社で校正をおこなうのであれば、標準温度計などの基準器を持っていると、正確に校正できます。

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