中心温度計とIH調理器
中心温度計は厨房・食品工場では欠かすことのできないものですが、電波的ノイズに弱い面があります。
電波的ノイズとは聞きなれない言葉ですが難しくありません。
私たちの周りの電気で動く製品、例えばパソコン、テレビ、エアコンなどはすべて電波を発生させています。
これを電波的ノイズと言います。
中心温度計は基本的に電圧だったり電気の抵抗を利用して温度を測定しています。
そのため、中心温度計が電波的ノイズを拾ってしまうと、温度がずれる可能性が高くなります。
中心温度計の近くでIH調理器を使っている場合は、注意が必要です。
これは中心温度計の取扱説明書には必ず書いてあることです。
おそらくどこのメーカーもIH調理器では使用できませんと書いてあると思います。
電波的ノイズが中心温度計に与える影響
そうはいっても、IH調理器はどこの厨房・食品工場でも使っていますよね。
使用できませんと言われても中心温度計を使わないわけにもいかないですし。
電波的ノイズが中心温度計に与える影響はどの程度なのでしょうか。
私が今まで経験してきた中では大きくて5℃前後、多いのは2~3℃ほどの誤差が出ておりました。
2~3℃誤差が出ていると普段の測定ではあまり気が付かなくても、校正の時だったりほかの温度計と比べたときに発見されることが多かったです。
この誤差が出てしまっても温度計の原理上どうしようもありません。そのため、メーカーも補償の対象とはしておらず返品や交換などの対応はしてくれないでしょう。
もちろん対応の良いメーカーは、製品を点検してくれたり代替機を貸してくれることもあるでしょうから、メーカー選びは重要です。
メーカーの選び方としては、温度計専門のメーカー・自分の地域に営業所があるとよい対応をしてもらえる可能性が高いと思います。
また、同じ製品なのに誤差が出ないという事もあります。
これが困ったことで、2台持っているお客さんがこの製品は誤差が出ないのに、もう一つの温度計では誤差が出てしまうと、誤差が出るほうは故障していると思ってしまいます。
こちらが電波的ノイズの影響で誤差が出ている温度計と出ていない温度計があると説明してもなかなか納得していただけません。
何が原因で誤差が出る温度計と出ない温度計があるのか実験してみましたが、答えは出ませんでした。
中心温度計にとって電波的ノイズはとても難しい問題です。
どのように電波的ノイズに対処するか
では電波的ノイズにどのように対処していったらいいのでしょうか。
それは簡単で使用しているIH調理器をいったん停止させるしかありません。
私もいろいろと現場を見て何とかならないか試行錯誤しましたが、結局はこれしかありませんでした。
温度計本体から電波的ノイズを拾ってしまう事もあるので、本体にビニールを巻き付けて対処したこともありましたが、一番多いのはセンサー部分からノイズを拾ってしまう事なのであまり有効ではありません。
センサー部分にビニールを巻き付けるわけにもいかないですから、もうIH調理器の電源を切るしかなくなるわけです。
測定時間は1分程度でしょうから、その時間だけIH調理器を止めて対処して下さい。
さいごに
食品工場などで必ずと言っていいほど使われている中心温度計、また同じくほとんどのところで使われているIH調理器。
中心温度計の取扱説明書を読むまでは、併用できないという事を知らない人がほとんどでしょう。
また、温度誤差が出ないことも多いのでIH調理器の近くで中心温度計を使う場合は必ず注意する必要があります。
誤差が出た場合の対処法はIH調理器の電源を切る事しかありません。
現場で働く人全員に注意喚起をするのはなかなか難しいと思いますが。IH調理器の近くでは中心温度計は使えないという事を必ず頭に入れておきましょう。