夏になると、厨房は火を使うのでどうしても暑くなります。
従業員からも暑すぎるから何とかしてくれ、なんてクレームも入ってきて大変ですよね。
そこで今回は、厨房の温湿度管理が必要な方法と、管理方法を解説します。
厨房も温度管理が必要な2つの理由
ここでは、厨房の温湿度管理が必要な理由を解説します。
ウイルス予防など衛生管理のため
雑菌は20~40℃の間が最も繁殖します。食材を20~40℃の温度帯に長時間放置しないことが大切です。
特に35℃前後になると雑菌の繁殖が活発化します。O157やO111も、この温度帯で活発になる細菌です。
夏場の厨房は、35℃前後になることが多いので注意しましょう。
交差汚染や消毒に気を付けていても、雑菌を完全に死滅させるのは難しいです。そのため、温湿度管理にも気を使い、少しでも食中毒の可能性下げる対策が必要です。
従業員の熱中症や体調不良を予防するため
食材の中心温度や冷蔵庫の温度管理はもちろん重要ですが、従業員の健康管理のために厨房の温湿度測定をすることも大切です。
従業員が熱中症などで倒れてしまった場合、使用者には「安全監督義務」が課されているので、会社が罰を受ける可能性もあります。
厚生労働省の大量調理施設衛生管理マニュアルには
「施設は十分な換気を行い、高温多湿を避けること。
調理場は湿度80%以下、温度は25℃以下に保つことが望ましい。 」
と記載があります。
湿度80%以下、温度25℃以下の環境は、人間にとって過ごしやすい環境です。
エアコンを活用しながら、湿度は50~80%、温度は20~25℃くらいに保つように心がけることが大切です。
厨房の熱中症予防については、こちらの記事で解説しています。
厨房で熱中症に?実は危険なあなたの環境
【初心者向け】食品現場における熱中症計の選び方
エアコンによる悪影響
乾燥すると空気中にウイルスが飛散しやすくなってしまうので、エアコンの風を強くしすぎるのはあまりよくありません。
インフルエンザやノロウイルスも食品製造の現場では大敵ですので、乾燥のし過ぎにも気を付けましょう。
それでは、実際にどれくらいの温湿度にすればいいのでしょうか。
目安としては室温は20~25度、湿度は50~80%位をしましょう。
湿度管理の注意点なのですが、乾燥するから加湿器を導入しようと思うかもしれません。
しかし、加湿器はこまめに掃除をしないと細菌やカビの温床になってしまいます。
加湿器を設置する場合は、1週間に1回程度は清掃をして清潔な状態に保つ必要があります。
厨房ではたいてい何かを煮炊きしているので、発生した水蒸気により湿度が下がりすぎるということはありません。
そのため湿度が上がり過ぎないように気をつければ、温湿度管理はできているといえます。
厨房の温湿度を知るには温湿度計を置くしかありませんので、実際に自分が働いている環境はどのくらいなのか測定をしてみましょう。
温湿度管理にはどのような温湿度計があるの?
中心温度計や冷蔵庫用温度計と違い、厨房の温湿度を測定するのに厨房専用のものはありません。
そのため、工業製品を製造している工場や家庭で使うような温湿度計と同じものを使用します。
タニタ TT-580
こちらはタニタのTT-580です。
液晶にグラフ表示が付いており、24時間の温湿度の変化が一目で分かります。
管理したい数値から外れていたらすぐに分かるのが便利ですね。
温度の測定精度は 0.0~40.0℃±1.0℃ それ以外±2.0℃ で標準的な値です。
湿度の精度は35~75%±5% それ以外±10% でこちらも標準的な値です。
±5%と±10%!?と驚く方もいらっしゃるかもしれませんが、この価格の温湿度計では全然悪い精度ではありません。
温度に比べると湿度の測定って難しいんです。
例えば、人が近づくとそれだけで人の湿気が空気を通して伝わるので数%なんてすぐに変化してしまいます。
できればもっと精度のよいものが欲しいと言う気持ちは分かりますが、±3%のものを選ぼうとすると数万円しますし、それよりもいいものを選ぼうとすると10万円を超えてきます。
そのくらいの価格の温湿度計となるとデータロガー機能などおそらく使わないであろう機能がたくさんついているので、オススメできません。
価格と機能を考えると数千円のデジタル温湿度計のみになってしまいます。
佐藤計量器製作所 PC-5400TRH
こちらは佐藤計量器製作所のPC-5400TRHです。
タニタのようにグラフ機能は無いものの、大きな液晶で非常に見やすい製品です。また、最高最低の表示があるので、グラフが無くてもどの程度まで温湿度が上がったかの確認をすることができます。
また、佐藤計量器製作所はタニタと違い温湿度計の専門メーカーですので、校正なども考えるようでしたら、佐藤計量器がオススメです。
SwitchBot温湿度
温湿度計を設置しても、忙しくてこまめな空調の設定変更ができないという方もいます。
そのようなときは、安価に自動で温湿度の調整をしてくれるシステムがあります。
SwitchBot温湿度を使用すれば、事前に設定した温湿度になったらエアコンなどに指示を出して、オン・オフを自動で調整します。
時間で空調のオン・オフもできるので、空調を切り忘れることも無くなります。
SwitchBot温湿度については、以下の記事で詳しく解説しているので、併せてご覧ください。
まだ温湿度計を使ってるの?厨房の温湿度管理はSwitchBotで効率化!
厨房の温湿度管理は作業員のためでもある
温湿度管理は衛生管理だけではなく、作業員の方の健康を守ることにもなります。
高温多湿な環境は非常に熱中症になりやすいです。
ましてや調理をしながら高温多湿の環境にいたら、仕事が終わった後は毎日服が汗でぐっしょりしていることでしょう。
そんな過酷な環境だからこそ温湿度計を設置して、作業員の方に快適な環境で働いていただくようにしましょう。
管理者の方はいろいろと考えること守らないことが多くて大変ですが、厨房に温湿度計を設置すれば衛生管理と作業員の方の体調管理に使用することができます。
数千円で設置できますので、この機会に導入を考えて見られてはいかがでしょうか。