HACCPはすべての食品会社が導入しなくてはならないの?
HACCPの義務化が決まり、急いでHACCP導入の準備をしなくてはと焦っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また、うちみたいな小さな会社にHACCPは無理だよと思っている方も多いと思います。
本当にすべての会社でHACCPを導入しなくてはならないのでしょうか?
実はHACCP義務化といっても社員が何人もいる大きな会社と小規模事業者では異なります。
どのように変わってくるのか次で解説をします。
大企業と中小企業での導入はどう違うの?
HACCPの導入には「 HACCP に基づく衛生管理 」と「HACCP の考え方を取 り入れた衛生管理 」の2種類があります。
HACCPの導入には12手順と言われるものがあるのですが、12手順を忠実に実行するのが「HACCPに基づく衛生管理」です。こちらは大企業に求められるものですが、大手の食品メーカーの多くはすでにHACCPは導入済みのところが多いので、それほど大きな影響は無いでしょう。
12手順を簡略化して簡易的なHACCPを導入するのが「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」です。
小規模事業者の方はこちらを導入することになります。HACCPをそのまますべての食品会社に導入するのはさすがに無理だと国も判断したのでしょう。
HACCPの考え方を取り入れた衛生管理は、食品製造の基本一般的衛生管理に少し毛が生えたようなものなので、それほど心配する必要はありません。
それでは実際にどのようにHACCPの考えを取り入れた衛生管理を行うのか見ていきましょう。
HACCPの考えを取り入れた衛生管理ってどうやって導入するの?
小規模事業者は簡易的なHACCPを取り入れればいいということはお分かりいただけたかと思いますが、HACCPの考え方とは何でしょうか?
HACCPの大まかな流れは次の通りです。
①衛生管理計画の作成
②衛生管理計画に基づいた実行
③実行の記録を取る
④記録の保管
⑤衛生管理計画の見直し(その後①に戻る)
これがHACCPの流れですが、この流れを取り入れる事がHACCPの考えを取り入れた衛生管理となります。
流れは分かってもどのように普段の業務に落とし込めばいいのでしょうか。
HACCPの考えを取り入れた衛生管理のための手引書
厚生労働省がHACCPの考えを取り入れた衛生管理のための手引書というのを公開しています。
この手引書は一般的な飲食店、麺類の製造工場、飲料水製造、しょうゆ製造などいろいろな製造品ごとに分かれています。図解も多くとても分かりやすいないようですので、手引書の通りに実行していけばHACCPの考え方を取り入れた衛生管理は形になるでしょう。
手引書の具体的な内容についてはまた別の記事で解説をしたいと思います。
今回の記事では小規模事業者はHACCPをそのまま取り入れる必要は無く、簡易版のHACCPを取り入れればいいということを覚えておきましょう。
ただ、HACCPの義務化は始まったばかりで、ある程度世間にHACCPというものが根付いてきたらもっと厳しくなってくることが予想されます。
HACCPの考えを取り入れた衛生管理といっても、どこまでやるかはみなさんの考え方次第です。
より本来のHACCPのやり方に近い方式を導入していけば、衛生管理のレベルは間違いなくアップします。いつも私が言っていることですが、やるのならしっかりやってより高いレベルを目指していきましょう。
どこまでが小規模事業者なの?
ここまで読んでくると当然、うちは小規模事業者なのか?という疑問が沸いてくると思います。
実際に小規模事業者というのはどの程度の規模の会社を言うのでしょうか。
厚生労働省が発表しているQ&Aでこのようなものがあります。
Q. 小規模事業者とはどの程度の規模を指すのか。
A. 小規模事業者の規模に関しては、事業者団体が作成した手引書で想定され ている規模等を踏まえ、「食品の製造又は加工を行う者のうち、一の 事業所 において、食品の製造及び加工に従事する者の総数が 50 人未満の者」とい う案を提示し、「食品衛生管理に関する技術検討会」において検討を進めて います。
この感じですと50人未満の会社ということになりそうですが、まだ検討をしている段階ではっきりと決まっていないんですね。
すでにHACCP導入の準備を進めている会社が多い中、このあたりを決めてもらわないと動くに動けなくなっちゃいますよね。
おそらく50人未満の事業者は小規模と言うことになるでしょうから、その基準に合わせて自社はどれくらいの対応をしなくてはいけないのか、準備を進めていきましょう。