温湿度計は水に当ててはいけません
よく頂く質問で「防水型の温湿度計はありませんか?」というものがあります。
ここでいう温湿度計とは机の上などに置いて温度と湿度を測る一般的な温湿度計です。下の画像のようなものをイメージしてください。

食品関係の方はよく防水型の中心温度計を使っているので、同じような感覚で防水型の温湿度計はないかと問い合わせてくるようです。
なんで防水型の温湿度計って売ってないの?
防水型の温度計はあるのに、なんで防水型の温湿度計は無いのでしょうか。
それは湿度を測定するためには防水には出来ないからです。
湿度の測定方法はいくつかあるのですが、どのような方法で測定するにしてもセンサーに空気中の水分を触れさせなくてはなりません。
例えば温度計の場合は、防水にするためにセンサーの周りを金属で覆ったとしても金属を通して温度は伝わります。
逆に湿度のセンサーを防水にするために金属で覆ってしまうと、空気中の水分は金属に遮られてしまいセンサーまで到達することが出来ません。
簡単な理由ですよね。
そのため、温湿度計に防水型の製品はありません。
一部のメーカーは防水型の温湿度計を販売しているようですが、それは水がかかっても本体の内部に水が浸入しにくい構造になっているようです。
ただ、そうするとある程度気密性を高めなくてはならないので、空気がセンサーに到達するまでに時間がかかってしまい、反応速度は遅くなります。
それでは水がかかる場所に温湿度計を設置したいときはどうしたらいいのでしょうか?
温湿度計の設置の仕方を工夫しよう
いろいろ設置の場所を検討したけど、どうしても水のかかる場所にしか設置できない。そんなこともあるでしょう。
そんな時は設置の仕方を工夫すればいいんです。

例えばこんな風にペットボトルの下側を切り取って、傘にすれば水はかからなくなります。
*下から水が吹き上げる場合は防げませんのでご注意ください。
ペットボトルでは小さくて入らないという場合は、ホームセンターなどでプラスチックのボックスを買ってきて下側を切り取れば同じように傘として使えます。
なぜ下側を切り取るのかというと、空気をボックス内に入れるためです。
ボックスを買ってきたからと言ってそのまま中に入れてしまうと、水は防げますが空気まで遮断されてしまって温湿度を測定することが出来なくなります。
必ず水の侵入が無い下の部分に空気の通り道を作るようにしてください。
設置は出来ても劣化に注意
さて、このような方法で水のかかる場所でも温湿度計は設置ができるとお判りいただけたと思います。
その際に注意してほしいのは、水が多い場所だと温湿度計の劣化も早いという事です。
このような水分の多い場所ですと、おそらく湿度が常時100%に近い状態になっていると思います。
湿度が100%という状態は結露寸前という事です。おそらく本体内のどこかでは結露が始まっていると思っていいでしょう。
温湿度計は電子機器ですので結露には弱いです。
通常の場所よりも、結露により基盤が腐食して劣化が早まるという事を覚えておいてください。
おすすめの温湿度計
こちらはタニタのTT-580です。
液晶にグラフ表示が付いており、24時間の温湿度の変化が一目で分かるのが特徴です。
管理したい数値から外れていたらすぐに分かるのが便利ですね。
日付と時間の表示も付いているのでデスクの上に置いておくととても便利です。
こういった時計機能は使ってみると地味にうれしいです。
こちらは佐藤計量器製作所のPC-5400TRHです。
タニタのようにグラフ機能は無いものの、大きな液晶で非常に見やすい製品です。また、最高最低の表示があるので、グラフが無くてもどの程度まで温湿度が上がったかの確認をすることができます。
アラーム機能も付いており、設定した値を外れた場合は電子音で教えてくれます。
もし異常な温湿度になった際に音で教えてくれるのですぐに対処をすることが出来ます。
また、佐藤計量器製作所はタニタと違い温湿度計の専門メーカーですので、校正なども考えるようでしたら、佐藤計量器がオススメです。
さいごに
防水型の温湿度計は基本的には売っていません。
水がかかる厨房で使用する場合には、傘を付けるなど設置方法を工夫しましょう。
水分の多い環境で使用すると、結露等により劣化が早まります。
基本的に消耗品だと考えて、壊れたらすぐに買い替えるつもりで予算も考えておくのが良いでしょう。