3453人が集団食中毒!?八潮市の給食どうなってるの?

埼玉県八潮市で大規模食中毒が発生

埼玉県八潮市の小中学校で3453人が下痢などの症状を訴える食中毒が発生しました。

原因は学校給食で出された海藻サラダに付着していた大腸菌とみられています。

現在は学校給食を休止して弁当持参にしているそうです。

食中毒になった精神的負担もですが、弁当持参になると時間的・肉体的にも親御さんの負担が増してしまいます。

今後、説明会が開かれるそうですがかなり荒れそうですね。

昔は学校給食というと学校に併設された調理場で給食のおばちゃんが作っているものでしたが、最近では給食センターと呼ばれる施設で地域の学校の給食をまとめて作っていることが多くなっています。

学校給食センターは市が設立をして運営は民間会社に委託していることがほとんどです。

今回の八潮市では東部給食センターというところで作られていたそうですが、こちらは運営を民間に任せているのではなくて、もともと民間会社によって設立された会社のようです。

原因は海藻サラダ

保健所の調べによって原因は海藻サラダに大腸菌が付着していたという事が分かっています。

しかし付着した原因が何だったかまでは分かっていません。

乾燥した海藻にもともと大腸菌が付いていたのか、作業員の手に付着していたのか、調理で使用する器具に付着していたのか、考えられるルートはいくつもあります。

また、乾燥した海藻を水戻ししただけで、加熱処理はしていなかったそうです。水戻ししたのも前日とのことで、大量調理施設で働いている人ならばこんな杜撰な調理をするのかと驚かれるのではないでしょうか。

まず第一に、前日に水戻しをしている事に驚きです。

大量調理施設衛生管理マニュアルでは、非加熱で提供する食品は下処理後速やかに調理に移行することとされています。

特に今のような梅雨の時期は気温湿度共に菌が繁殖しやすい環境になっています。

前日に非加熱で提供する食材をした処理するのは考えられないことです。

第二に、そもそも乾燥した海藻を加熱しないで提供することも考えられません。

通常でしたら蒸すなどをして、必ず加熱してから提供をします。

もし、フルーツなどの加熱できない食材の場合でも、大量調理施設衛生管理マニュアルでは下記のように規定しています。

① 衛生害虫、異物混入、腐敗・異臭等がないか点検する。異常品は返品又は使用
禁止とする。
② 各材料ごとに、50g程度ずつ清潔な容器(ビニール袋等)に密封して入れ、
-20℃以下で2週間以上保存する。(検食用)
③ 専用の清潔な容器に入れ替えるなどして、10℃前後で保存する。(冷凍野菜は
-15℃以下)
④ 流水で3回以上水洗いする。
⑤ 中性洗剤で洗う。
⑥ 流水で十分すすぎ洗いする。
⑦ 必要に応じて、次亜塩素酸ナトリウム等注4で殺菌注5した後、流水で十分すすぎ
洗いする。
⑧ 水切りする。
⑨ 専用のまな板、包丁でカットする。
⑩ 清潔な容器に入れる。
⑪ 清潔なシートで覆い(容器がふた付きの場合を除く)、調理まで30分以上を要
する場合には、10℃以下で冷蔵保存する。

非加熱の食材を提供する場合には、流水で3回以上水洗いする・中性洗剤で洗う・流水で十分すすぎ洗いをする・次亜塩素酸ナトリウムで殺菌をする・流水ですすぐ。

このような工程を経て提供をする事になります。

おそらく今回の海藻は水で戻しただけで提供されたのでしょう。

マニュアルとの乖離に愕然とするのではないでしょうか。

これが衛生管理の難しいところ

今回の東部給食センターはHACCPを取得していますので、もちろん上記のことなど把握しているわけです。

そして、おそらく乾物の危険性を認識しており、製造工程一覧図などには加熱処理をする事と規定してある事でしょう。

ではなぜ大規模な食中毒が発生してしまったのか。

私は今回の問題こそが衛生管理の難しいところだと考えています。

問題は、「マニュアルが整っていても、作業員の意識により衛生管理が徹底されない」ことにあります。

東部給食センターの前身となる会社は、昭和39年に設立されています。このように歴史のある会社ほど現場の作業員の力が強くなり、マニュアルを軽視して経験から作業工程を変えてしまう事がよくあります。

また、現場の力が強いと衛生管理部門の社員が衛生管理の規定を作成しても、作業員への徹底が出来ていないケースもあります。

会社で作った規定は守るというのは当たり前の事なのですが、それが出来ていないことはよくある事です。

これではせっかく規定を作っても意味がないですよね。

そのために、HACCPチーム編成の際に、社員全員に対してリーダーシップを発揮でいるような権限を持った社員・役員をメンバーに入れることが重要です。

ある程度の権限を持った人でなくては、衛生管理の規定を作成してもそれを周知徹底することが出来ません。

また、最初だけ周知すればいいというわけでなく、定期的に研修会を開くなどしていかなくてはなりません。

これがHACCP導入の一番難しいところと言えるでしょう。

もちろん、上記の現場の力が強くなりすぎているというのは私の憶測です。

ただ、HACCPを取得していて衛生管理のシステムは出来上がっているのに、現場では通常考えられないような調理をしているという事から、衛生管理の周知徹底が出来ていなかったことは確かです。

さいごに

年々、衛生管理に対する規制は厳しくなっていっていますが、一向に今回のような食中毒事件は無くなりません。

規定がしっかりしていても、それを周知徹底するのはとても難しい事です。

今回の事件を教訓に自社でHACCPを導入する際に、周知徹底・継続をしていくにはどうすればいいのかという事を考えていきましょう。