ベルトコンベアー式オーブンとは
食品用の温度計を取り扱っているとたまに問い合わせがあるのが、ベルトコンベアー式オーブン内の食材の中心温度を測定したいというものです。

ベルトコンベアー式のオーブンはこちら
株式会社フジマックさんのホームページより引用
その名の通りベルトコンベアーの上を流れる食材をオーブンで熱することが出来る機械です。
こちらを流れる食材の中心温度の測定をしたいという問い合わせなのですが、これがなかなか難しい測定となります。
たとえば、温度計の本体ごと中に入れて測定しようとすると、断熱材がしっかりとした耐熱の温度ロガーでないといけません。
コード状のセンサーを中に差し込んで本体は外に出しておくという手もありますが、長いコンベアーの場合は中でセンサーが引っかかってしまう可能性があるので、オススメは出来ません。
そうなるとやはり本体ごと中に入れる事が出来る耐熱温度ロガーが必要なります。
そのような温度ロガーはあるのでしょうか。
耐熱式の温度ロガー
耐熱式の温度ロガーは数は少ないですが、あるにはあります。
医療の現場では食品よりもシビアな温度管理が求められることが多いのですが、医療器具を熱で殺菌をするときなどに温度ロガーが用いられます。
そのような用途をメインとして作られているのがebroのEBI10-T220です。

見た目は小型の温度ロガーですが、この製品は耐熱ケースを使用すると350℃まで耐えることができます。
先端のセンサー部を食材に刺してベルトコンベアーに流せば問題なく温度測定をする事が出来ます。
金額は調べても出てこなかったのですが、以前聞いた話では数十万円しました。
完全防水で高精度、耐熱でニッチな製品ですので金額が高くなるのは仕方の無いところですね。
製品と言うのは多く作れば作るほどコストを安くできるわけですが、耐熱ロガーの需要はそれほど多くありません。そのせいか、国内メーカーでここまでの耐熱温度ロガーを出しているメーカーはありません。
おそらく、今後も耐熱温度ロガーの金額が安くなる可能性は低いでしょう。

次にご紹介するのはMKサイエンティフィックのHiTemp140-STOVです。
さきほどのebroの製品と比べると少し大型です。
こちらは260℃に30分以上耐えることができます。
断熱ケースに水を入れて断熱材の代わりとします。そのため蒸発しない限りは内部の温度は100℃に保たれます。
こちらは税抜き245,000円なので、先ほどのebro製よりは安価でしょう。
また、260℃に30分以上耐えられると記載しましたが、このような耐熱温度ロガーには必ず使用できる時間が書いてあります。
いくら断熱材で覆われているからといっても、時間が経てば温度が伝わってきて温度計本体が壊れてしまいます。
そのため、温度が高くなればなるほど使用できる時間は短くなっていきます。
ほとんどの場合、温度ごとに使用できる時間が記載されているので、必ず確認をするようにしましょう。
まとめ
本日は少しマニアックなベルトコンベアー式オーブンに使用できる中心温度計の話をしました。
耐熱の温度ロガーは海外製品が主流です。主流といってもそんなに種類が多いわけではないです。
また、耐熱にするにはお金がかかるため、金額が高い製品が多いです。
そして需要は多くないので今後も価格が安くなる見込みは少なく、日本メーカーが参入してくる可能性も低いです。
こういうニッチな測定はお金がかかるものだと認識して、どうしてもオーブン内で中心温度を測定する必要があるのであれば、1台購入してみましょう。