厨房での温湿度計の役割とは
厨房や食品工場では温湿度計を設置していることがよくあります。これは何のために設置してあるのでしょうか。
その理由はいくつかあるのですが、一つはカビや細菌の繁殖防止のためです。カビや細菌は高温多湿な環境を好みます。
厨房では熱源も湿度を高くする鍋の水蒸気などもあるので、空調をつけるなど何か対策をしないとカビや細菌の温床に鳴ってしまいます。
カビや細菌から食材を守るために温湿度計を置いて管理をします。
また、高温多湿な環境は作業員の方にとってもつらい環境です。夏場などは火の近くにいたら熱中症になってしまう可能性もあります。
そのため、厨房や食品工場で温湿度計を設置するのはとても重要なことです。
温湿度計はずっと使えるの?
温湿度計を設置している厨房や食品工場は多いですが、長年同じ温湿度計を設置したままになっていることを良く見かけます。
中心温度計でしたらHACCPで定められている通り校正を行いますが、なかなか温湿度計までは手が回らないことが多いです。
そして、温湿度計は落下させたり衝撃を与えない限り、壊れずに表示をしているので表示値がずれていても気が付かないことが多いのです。
それでは温湿度計の表示値がずれることはよくある事なのでしょうか。
温湿度計の表示値がずれる原因とは
温湿度計の表示値は経年変化でずれることは多いです。
温度は数年経っても問題ないことが多いのですが、湿度はかなりずれて精度から外れるものだと思ったほうがいいでしょう。
株式会社第一科学のホームページより引用
( https://www.daiichi-kagaku.co.jp/situdo/note/arekore10/ )
温湿度計には高分子抵抗式湿度センサーがよく使われています。蒸気の図のように板状になっており、ここに空気が触れることによって空気中の水分を吸収したり吐き出したりします。
そして電極に電気を流すのですが、このとき吸収している水分が多いほど抵抗値は低くなり、水分が少ないほど抵抗値は高くなります。この抵抗値の違いを湿度として表示する仕組みです。
このような形で湿度を測定するのですが、当然このセンサーが汚れてしまうと水分の吸収・発散が上手くできずに数値がずれてしまいます。
厨房では空気中にいろいろなものが含まれています。チリやホコリはどこにでもありますが、その他にフライパンで炒め物をしているときに空気中に混ざりこんだ油分、煮物をしているときに湯気と一緒に空気に混ざりこんだ調味料などさまざまです。
これが温湿度計のセンサーに触れると目には見えませんが板状のセンサーに膜のように張り付いてしまいます。
こうなると空気が直接センサーに触れなくなってしまうので、反応速度が遅くなったり湿度が低く表示してしまいます。
空気中の水分がセンサーに触れることが出来ないので低く表示するんですね。しかし、まったく空気を通さないわけではないのである程度の数値では湿度を表示します。
厨房のようなところでは2~3年に1度は温湿度計を取り替えたほうがよいでしょう。
これが温度になるとあまりずれることはありません。もちろん温度センサーにもチリやホコリがついたり、油分が膜を張ることもあるのですが湿度と違って温度は膜を伝わってセンサーに到達します。
多少反応速度が遅くなることはあっても精度がずれる事は少ないです。
温度がずれていないといっても湿度がずれてしまっては役に立たないのでもったいないですが、定期的な買い替えをお勧めいたします。
オススメの温湿度計は
こちらはタニタのTT-580です。
この製品のよい所はグラフでこれまでの変化を見られるところです。
これまでの最高値・最低地を見られる温湿度計はたくさんありますが、このようにグラフで見られる温湿度計はありませんでした。
これがあれば異常な数値になった時間帯を把握できるので、原因を特定しやすくなります。
精度も一般的な水準で金額もそれほど高くないので、しっかりと温湿度を管理したい方にはお勧めです。
こちらは佐藤計量器製作所のPC-5400TRHです。
こちらの製品の特徴は液晶が大きいことと、アラームがなることです。
広い食品工場で使用する場合は液晶が大きくて少しでも遠くから温湿度を確認できたほうが便利です。
また、アラームも鳴らすことができるので異常な数値になったらすぐに気が付くことができます。
あ、佐藤計量器製作所は温湿度計の専門メーカーですので、数値に信頼性があります。もし、ISO9001用に校正が必要な場合は佐藤計量器製を選ぶといいでしょう。
まとめ
長年設置してあることが多い温湿度計ですが、数値がずれている可能性が高いです。
空気中に油や調味料の成分が含まれている厨房や食品工場ならなおさらです。
温湿度計は設置するのが目的ではなく正しい温湿度管理をする事が目的です。
もし3年以上設置したままになっている温湿度計があるのであれば、買い替えを検討してみましょう。