食品業界で使われるガラス温度計
ガラス温度計と言えば皆さんが温度計と聞いて一番に思い浮かべるものではないでしょうか?
学校の理科の授業でも使いますし、百円ショップなどでも販売しているのでよく目にする機会があります。
ガラス温度計は以前から食品業界でよく使われてきました。
手に入りやすいものですし金額も安いのでガラス温度計を使う事が多かったのだと思います。
また、各業界の指針などで普段使用している温度計の精度確認は標準温度計で行う事ととされることが多かったのも要因です。
標準温度計はガラス温度計の内部に水銀が封入されており、とても精度よく温度を測ることが出来ます。
この様な理由からガラス温度計は昔から食品業界でよく使われてきました。
本日はそんなガラス温度計の種類についてお話ししたいと思います。
ガラス温度計の種類
ガラス温度計といっても種類は沢山あります。
まずは皆さんが一番よく目にする内部に赤い液体が入ったガラス温度計です。
こちらはアルコール温度計と言われるものです。
以前は内部に赤色に着色したアルコールを封入していたのでアルコール温度計と呼ばれています。
ただ、現在ではアルコールではなくて内部に灯油を封入しています。(温度によって内部の液体は異なりますが食品でよく使う0~100℃は灯油です)
もしガラスを割って中の液体が出てしまうと灯油の匂いがするので、機会があれば匂いを嗅いでみてください。
基本的には人体の中に入れてはいけませんが、もし誤って口に入ってしまったとしても少量でしたらそれほど問題はありません。
温度範囲は下は-100℃、上は200℃くらいまでのものがあります。
自社の用途に合わせて温度範囲を選んでください。
次は水銀温度計です。
こちらはその名の通り内部に水銀が封入されたガラス温度計です。
水銀はアルコール温度計に比べると応答速度が速く、精度も良く測定できます。
金額もアルコール温度計とそれほど大きく変わりません。
それだったらアルコール温度計なんて使わなくてもいいじゃんと思うかもしれませんが、水銀は猛毒の金属です。
もし割ってしまい水銀が食品の中に入ってしまったら、すべて廃棄になるでしょう。
そのため、標準器として使う以外は現場で使用することはないでしょう。
次はちょっと変わった留点温度計(りゅうてんおんどけい)です。
これはガラス温度計内部に水銀が入っているのですが、水銀を封入している個所に特殊な加工がしてあり、温度が下がっても水銀が下がらなくなっています。
水銀が下がらないという事は、一番高い温度で止まっているという事です。
昔の水銀体温計と同じですね。
例えばオーブンなどに入れておけば最高温度が何度だったかという事が分かります。
デジタル温度計を入れられないような環境でしたら、この留点温度計を使用することがあります。
最高温度を測りたいときには使用してみるのもいいかもしれません。
ただし、内部は水銀なので取り扱いには気を付けてください。
最後に標準温度計です。
これは普段使用している中心温度計などを校正する温度計です。
現場で毎日使用する温度計ではありませんのでご注意ください。
もちろん毎日精度よく測りたいという場合は使用してもいいのですが、わざわざ水銀温度計を使用する必要はないので、デジタルで精度の良い温度計を購入したほうがいいでしょう。
標準器として使用する場合は、とても精度が良く経年劣化も少ないのでとてもおすすめな製品です。
出来れば校正をする場所は現場とは別の場所に設けましょう。そうすれば万が一破損して水銀が漏れてしまっても、現場の食品に影響を与えることはありません。
さいごに
アルコール温度計、留点温度計、標準温度計とご紹介しましたが、これはガラス温度計の中のほんの一部です。
昔から使用されてきたガラス温度計は様々な種類があります。
ただ、最近では水俣条約が施工され水銀を使用した製品を避ける傾向にあります。
大企業になればなるほどその傾向は顕著でしょう。
大企業の下請けをしている業者などは、水銀を使わないようにと指示をされているところも多くあります。
そのため、ガラス温度計を使用するのはほかに代用が聞かない場合のみにしましょう。
出来るだけデジタル温度計を使用して、どうしようもないときのみガラス温度計を使用するようにしてください。