原材料の受入について
本日は、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理の手引書・小規模な飲食店向けの中から、原材料の受入について解説をしたいと思います。
原材料の受入時に問題ないかチェックをすることはとても重要です。自分の手元についてからはある程度、自分で設定した衛生管理計画に基づいてコントロールができますが、原材料を受け入れるまでというのは自分の力ではどうすることもできません。
そのため、受入時に問題がないかチェックをすることがとても重要となります。
もし受入時に問題があれば、返品もできますし状態の悪い食材をお客様に提供することもなくなります。
受入のチェックをしていないと自分の管理体制が悪かったのか、受け入れるまでに問題があったのかという事さえ分からなくなってしまいます。
原材料の受入は毎日のことで大変ですが、とても大事なことなのですしHACCPでは必ず行う必要がある項目です。
手間を惜しまずに必ず毎回チェックするようにしましょう。
手引書の原材料受入について解説

手引書は上記のような内容ですが、簡潔に書かれているので解説をしていきたいと思います。
どのように確認をするかですが、下記のように記載があります。
外観、におい、包装の状態、表示(期限、保存方法)、品温などを確認する。
まずは、外観と包装の状態ですが腐敗していないか、包装が破れたり破損しているものがないかについて確認をします。
腐敗していれば変色していますし、包装が破れたり破損して入れば一目見てすぐにわかると思います。
包装が破損していると、食材が何か別のものに触れて有害な微生物が付着してしまうかもしれません。また、配達員の方がノロウイルスなどに感染をしていたら、咳などから汚染されてしまう可能性もあります。
もともと、包装はそのような外的危害要因から食材を守るものですので、包装が破損していたらまあすこしだからいいやと思わずに返品を申し出るようにしましょう。
また、変色がしていないくても匂いで腐敗に気が付くこともできます。腐敗していなくても、近くに匂いの強いものを置いていると匂いが移ってしまいクレームの原因となります。
そのため、受入の時は外観の確認だけでなく匂いもチェックをするようにしましょう。
品温については、放射温度計を使用するのが一般的です。
受入時に外観や匂いに異常がなかったとしても、冷蔵のものは冷蔵で、冷凍のものは冷凍で輸送をしないと鮮度が落ちてしまいます。
品温のチェックは自分の感覚だけでは難しいので放射温度計を使用するようにしましょう。
放射温度計は表面の温度を測るのですが、メリットとして一瞬で測定可能という点があります。
中心温度計でもセンサを付け替えれば表面の測定もできるのですが、おおよそ1分以上は測定に時間がかかってしまいます。他のチェックもしながら品温チェックにも時間をかけてしまうと、配達員の方をずっと待たせることになってしまうので現実的に少し難しいでしょう。
そのため、一瞬で測定ができる放射温度計が好まれています。
ただ、食材の受入で放射温度計を使う場合、受入場所と放射温度計の内部の温度が同じになっていないと誤差が出てしまうので注意してください。
受入場所は屋外や倉庫のため、事務所に比べると寒いことが多いです。放射温度計を事務所に保管していて、受入の時に倉庫などに持っていく場合、放射温度計は事務所の暖房で温まっているので、周囲の気温との温度差があります。
これでは正確に測定できないので、原材料受入の放射温度計は専用にして受け入れる場所で保管をするようにしてください。
その他の注意点については下記記事をご覧ください。
おすすめの放射温度計
こちらはCHINOの防水型放射温度計IR-TE2です。
この製品は防水型となっていて、水にぬれやすい食品の現場で使うには最適です。
IP67ですので水で丸洗いもできます。ただ、レンズに水滴がついていると正確に測定は出来ませんので、測定前には確認をするようにしてください。
こちらは佐藤計量器製作所のSK-8950です。
防水はIP54とそれほど高くないですが、濡れた手で操作できますので、水が直接かかるのに気をつければ使用することができるでしょう。
先ほどのCHINOの製品はどこに向けて測っているのかちょっと分かりにくい形をしています。それに比べてSK-8950はガンタイプですのでどこに向けて測定しているのか感覚的に分かりやすくなっています。
放射温度計はガンタイプの形状が主流ですので、測定のしやすさはSK-8950に軍配が上がるのではないでしょうか。
まとめ
原材料受入時のチェックの重要性はご理解いただけたでしょうか。
手引書に載っているチェック項目はすべて重要ですので、なぜこのチェックをするのかという事を理解して、原材料受入のたびにしっかりとチェックをして記録を残すようにしましょう。
また、余裕があれば放射温度計を導入して品温のチェックをすると自分の感覚に頼らずに確認ができます。
原材料の受入は毎日のことなので大変だと思いますが、必ずチェックをするようにしましょう。