髪の毛で湿度の測定?自記温湿度記録計のはなし

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アナログとデジタルのデータロガー

本日は厨房の温湿度を測定するデータロガーの話なのですが、

アナログとデジタルの2種類あります。

デジタルは記録に便利なデータロガー、冷蔵庫の温度管理にピッタリ?でご紹介したT&D社のおんどとりのような製品です。

本体の中に温湿度を記録して無線やUSBケーブルなどでパソコンにデータを移してグラフ表示が出来る製品です。

これに対しアナログの温湿度データロガーもあります。データロガーという名称は基本的にデジタルの製品に使います。

アナログの製品は「記録計」と呼ばれます。

その中でも温湿度測定ができる記録計は「自記温湿度記録計」と呼ばれています。自分で温湿度を記録するという意味ですね。

自記音湿度記録計はもう日本でも製造しているところが非常に少なく、いすず製作所と佐藤計量器製作所の2社のみです。

以前は記録をするというと自記温湿度記録計を使うことがほとんどだったのですがデータロガーの登場からシェアを奪われ、だんだんと下火になってきました。ただ、まだ根強く使われていますのである程度の販売数は確保しているようです。

では、なぜアナログがいまだに使われているのかを含めて自記温湿度記録計の解説をしていきたいと思います。

自記音湿度記録計ってどんなもの?

こちらはいすゞ製作所のTH-27Rです。

本体の右側に温度と湿度のセンサーが付いておりそこからペンがついたアームが左側のドラム状の部分に伸びています。

センサーの動きによってペンが上下するのですが、ドラム部分が時間に合わせて回転するので巻きつけてある記録紙に温湿度が記録されるという仕組みです。

記録紙には1日用、1週間用、1ヶ月用とありますので、記録紙の終わりが近づいたら交換します。

1ヶ月用を使えば好感が少なくて楽じゃんと思うかもしれませんが、記録紙の長さは同じなので1ヶ月測定すると温湿度が詰まって記録されてしまうので、どのような変化があったが読みにくくなります。

温度センサーにはバイメタルというものが使われています。

バイ(2つの)メタル(金属)という意味なのですが、金属は種類によって熱を受けたときの膨張率が違います。

2種類の異なる金属の板を張り合わせる事によって、熱を受けたときに膨張率の違いにより曲がりが生じます。

その動きをアームに伝えて温度を測定しています。

湿度は人の毛髪を使用しています。

湿度センサーに髪の毛!?と思われるかもしれませんが、昔からある湿度の測定方法です。

女性の方なら分かると思いますが雨の日って髪の毛のまとまりが悪くてセットに時間がかからないですか?

それは、髪の毛が湿気を吸って膨張してしまうからなんです。この特性に目をつけたのが今回の毛髪湿度センサーなのです。

昔の人はすごいことを考えますね。

毛髪が湿気を吸って膨張する動きをアームに伝えて湿度を測定しています。

ただ、この毛髪は何でもいいわけではありません。

日本人の髪の毛の断面図は楕円形になっているのですが、これだと素直に膨張してくれません。対してヨーロッパの女性の髪の毛の断面図は綺麗な円形になっているそうです。このような髪の毛が湿度センサーには向いています。

また、そのままでは使えませんので油をとるために1ヶ月間純水につけて汚れを落としていきます。この時にクセを無くすために重りをつけてまっすぐに伸ばします。

このような工程を経て湿度センサーに使える毛髪になるわけですね。

アナログのメリットってなに?

自記温湿度計は毛髪も使っておりなかなか面白いものだと感じていただけたかもしれません。ただ、データロガーがあればアナログっていらないんじゃない?と思う方が多いのではないでしょうか。

アナログの自記温湿度計にもしっかりとメリットがありますので、ご説明していきたいと思います。

メリット1 記録に途切れが無い

自記温湿度記録計はペンでずっと紙に記録していくので、0.1秒たりとも記録が途切れることがありません。

これがデータロガーになると記録の間隔は早くて1秒です。もしその間に大きな温度変化があったとしてもデータロガーでは測定することが出来ません。

メリット2 改ざんが出来ない

一時、社会問題にもなりましたが測定値の改ざんと言うのは必ず起こりうる問題です。そのため会社としては改ざんがしにくい製品を選びたいでしょう。

自記温湿度記録計は紙にそのまま記録していくので後から改ざんをすることはできません。また、アームを動かして改ざんしようものならそこだけ不自然な動きになります。

データロガーも基本的には改ざんできないような仕組みになっていますが、PCに詳しい人であればソフトに表示したデータを変えてしまうことは可能です。

そのため、数値の信頼性に厳しい製薬業界ではいまだに自記温湿度記録計を多く使用しています。

メリット3 温湿度の変化がその場でわかる

データロガーは基本的にデータをパソコンにダウンロードしてソフトで表示させて温湿度を確認します。

これに比べて自記温湿度記録計は設置してあるその場で1週間なら1週間の温湿度の動きを確認することが出来ます。

現場で温湿度を確認できると言うのは案外便利です。

自記温湿度計にはこのようなメリットがありますので、これなら使えると思ったらデータロガーではなく是非自記温湿度記録計を導入してみてください。

ちなみにデメリットもお伝えしておくと、

・記録紙の交換が面倒

・データロガーに比べると価格が高い

・振動に弱い

・記録紙の保管にスペースが必要

などがあります。

どんな製品に一長一短ありますが、自社の希望に合うように検討してみてください!

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