放射温度計とは
放射温度計は測定対象に触れずに非接触で表面温度を測定できます。
触れずに測定できるので衛生的なため、食品業界ではよくつかわれる温度計です。
また、測定時間も1秒もかからないため、忙しい厨房でも重宝されています。
そんな便利な放射温度計ですが、注意しなくてはいけないのがどこを測定しているか分かりにくい事です。
放射温度計はどこを測定しているか
放射温度計は測定対象から離れれば離れるほど、測定をする範囲が広くなります。
カメラは離れるほど広い範囲を写して、近づくほど狭い範囲を写しますが、それと同じような感じです。
カメラだったらファインダーを覗けばどこを写しているのかが分かりますが、放射温度計にはファインダーがありません。
そのため、多くの機種にはレーザーマーカーがついていて、レーザーマーカーを目印にどこを測定しているかを判断します。
放射温度計のレーザーマーカーは下記のように分かれます。
①レーザーマーカーが付いていない機種
②1点のレーザーマーカーが付いている機種
③2点のレーザーマーカーが付いている機種
④円形に広がるレーザーマーカーが付いている機種
どのように測定範囲を判断するか
それではどのようにレーザーマーカーから測定範囲を判断すればいいのでしょうか。
①レーザーマーカーが付いていない機種については、事前に距離係数を確認する必要があります。
距離係数についてはこちらの記事:放射温度計を使う上で気を付けること②距離係数
例えば距離係数が10:1となっていた場合、1M離れたところから測定すると10cmの円の中を測定することになります。表示値は円の中の平均温度です。
自分がどれくらい測定対象から離れているのかを目測して、距離係数からどのあたりを測定しているのかを判断しなくてはなりません。
大きいものを測定するのであればレーザーマーカーが無くてもいいかもしれませんが、あまりお勧めはしません。
次に、②1点のレーザーマーカーが付いている機種です。こちらが一番一般的かと思います。

A&Dのホームページより引用 AD-5635
取扱説明書を読まない多くの方が勘違いしているのですが、このレーザーのところをピンポイントで測定しているわけではありません。
1点レーザーマーカーのレーザーは中心を示しているだけです。
中心はレーザーで分かるので、あとは距離係数からレーザーマーカーを中心としてどれくらいの円の中を測定しているかを目測します。
中心が分かるのでレーザーマーカーが付いていない機種よりも、測定がしやすくなりますね。
2点レーザーマーカーは測定をしている範囲の両端をマーカーで示します。

A&D AD-5634
このように放射温度計から2本のレーザーマーカーが出て、円の中心ではなく両端を示してくれます。
これならどこを測定しているか判断がしやすいですね。
さらに、どこを測定しているかサークル表示で示してくれる放射温度計もあります。

佐藤計量器製作所 SK-8130のページより引用
このようにレーザーマーカーが円で表示されますので、どこを測定しているかが一目瞭然です。
いろいろな方が使う放射温度計ですので、測定ミスをなくすにはこれぐらい分かりやすい製品がいいですよね。
こちらは佐藤計量器が特許を持っており、ほかのメーカーでは製作をすることが出来ないようです。
おすすめの放射温度計
こちらは佐藤計量器製作所のSK-8130です。
先ほどもご紹介した通りサークルで測定範囲を示してくれるため、どなたが使っても測定箇所を間違えるという事はありません。
1点式のレーザーマーカーの製品と比べるとどうしても価格は高くなってしまいますが、いろいろな方が使用する現場・間違いのない測定をしたい方にはお勧めです。
また、防水等級もIPX4のため多少の飛沫がかかるくらいは問題ありません。
食品現場で使用するからにはIPX4以上の防水等級は欲しいところです。
さいごに
放射温度計は手軽に温度測定ができますが、正しく使うには少し知識が必要になります。
どこを測定しているかを示すレーザーマーカーだけでもこれだけ種類がありますので、自分が使う用途にあった製品はどれなのかしっかりと検討してから購入するようにしましょう。
また、レーザーマーカーのほかにも、放射率・距離係数・測定範囲などいろいろと気にしなくてはならないことがあります。
この辺りは、別の記事でまとめてありますので、放射温度計のはなしのカテゴリからいろいろと記事を読んでみてください。