放射温度計を使う上で気をつけること②距離係数

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距離係数ってなに?

放射率に続き距離係数、聞きなれない言葉が多いですね。
距離係数を理解していないとまったく違う場所を測定していたなんてことになりかねないので、何となくでいいので覚えるようにしてください。
放射温度計のスペックを見ると必ず距離係数10:1、距離係数20:1という表記があります。
これはどれくらいの距離から測定すると、どれくらいの範囲を測定するかと言うことを表しています。

こちらはA&DのAD-5614です。

この製品を例に距離係数について説明していきたいと思います。

下の図をご覧ください。

AD-5614の製品ページより参照

この図がとても分かりやすいのですが、AD-5614の距離係数は12:1です。

放射温度計は測定対象から離れていても測定ができますが、離れれば離れるほど測定する範囲が広くなってしまいます。

距離係数12:1の場合は120cm離れた場所から測定をすると10cmの円の中の平均温度が表示されます。

距離が半分になって60cmの距離から測定をすると5cmの円の中の平均値が表示されます。

ピンポイントの測定ではないんですね。

カメラは距離が離れれば離れるほど広い範囲の写真が撮れますが、放射温度計は離れれれば離れるほど広い範囲の温度を測定することとなります。

放射温度計はどのあたりを測定しているのか分かりやすくするために、上記の写真のようにレーザーマーカーが出ます。

このレーザーマーカーは測定している範囲の中心あたりを示しています。ただ離れていてもレーザーマーカーが大きくなるわけではなくあくまで中心あたりをポイントでしか示しません。

そのため取扱説明書を読まないで使用を始めてしまうと、レーザーマーカーがあたっている場所をピンポイントで測定しているんだと勘違いしてしまします。

レーザーマーカーはあくまで中心付近を示しているだけであって、本当はその周りを円形で測定しています。

㈱佐藤計量器製作所の放射温度計の製品ページより参照

上記の図は四角が測定したいもの、丸が放射温度計で測定する範囲を表しています。

距離係数を頭に入れないで測定をすると一番右の図のように測りたいものより大きい範囲を測定してしまいます。

例えばまな板の上に乗せた肉を計ろうとした場合には、肉の温度だけではなくまな板の温度も測定ししまいます。

これでは全然違う温度を測定してしまうので、距離係数は必ず頭に入れておきましょう。

どうやって距離係数を選べばいいの?

一般的に食品の放射温度計は距離係数10:1から20:1程度のものが多いです。
距離係数は50:1や60:1という離れても小さな範囲を測定できるものがありますので、10:1や20:1というのはそれほど良いスペックではありません。
しかし、食品の測定ではそれほど近づいて測定ができないと言うことは少ないので10:1でもあまり問題とはなりません。また、60:1となると多少金額が上がってくるので近づいて測定ができない場合を除いては選定する必要は無いでしょう。
ただ、湯気がもくもくと出ている鍋などを測定する場合は、できるだけ湯気から放射温度計を離して測定したほうが故障する可能性が少ないので距離係数が高いものを選んだほうがいいでしょう。
 

こちらはA&DのADー5614です。

距離係数は12:1となっています。食品の測定の場合はこれくらいあれば十分でしょう。

またオプションで中心温度計のセンサを購入すれば、それを接続することもできますので1台2役で使用することができます。

値段も実売価格で1万円ほどですのでお手ごろです。

こちらは佐藤計量器製作所のSK-8300です。

距離係数が50:1ととても高い数値になっています。

5メートル離れた場所から測定しても10cmの円の範囲の測定ととても小さく測定できます。

金額は3万円を超えてくるので少し高いですが、離れた距離からの測定が多い方には測定ミスをなくすためにもこちらの放射温度計がオススメです。

放射率も0.01毎に設定が可能で液晶のバックライトやアラーム機能なども付いているのでとても高機能な放射温度計です。

まとめ

距離係数がとても大事だと言うことはお分かりいただけたでしょうか。
距離係数を知らないで測定をしてしまうと全然違うところを測定していると言うことにもなりかねません。これではせっかく購入した放射温度計が何の意味も無いものに成ってしまいます。
放射温度計はボタンを押せばすぐに測定ができますが、正しく使うには少し知識が必要な温度計です。
何度もお伝えしていることですが、どうせ測定をするなら正しい知識を身につけて正しい測定をしていきましょう。
それが、HACCPをより良いものにしていきますし、食品の味を毎日一定に保つこともできます。そして、食中毒も無くなりあなたの工場・お店がより繁栄していけばこうして温度計を紹介していることに意味が出てきます。
このホームページから放射温度計を購入していただかなくても、みなさまのお店が繁栄していけばきっとまわりまわって私にも恩恵が返ってくるはずです。
一緒に食品業界を良くしていくためにまずはきちんとした測定知識を身につけていきましょう。

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