放射温度計は自分で校正できる?日常の点検方法は

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はじめに:放射温度計の校正について

非接触でかつ一瞬で測定できる放射温度計。

食品製造の現場では欠かせない温度計です。

でも、中心温度計と比べると校正が難しいのはご存じでしょうか。

もしかすると、まったく校正をしないで使っている場合もあるのではないでしょうか。

 

そこで今回は、放射温度計の日常点検の方法から、自分で校正ができるのかを解説します。

高頻度で使用する放射温度計なので、しっかりと温度の確認をして正確な温度測定をしましょう。

 

管理人
この記事は、測定機業界で10年以上温度計を提案してきた管理人が執筆しています。

放射温度計とは

放射温度計は、物体が発する赤外線エネルギーを感知して温度測定をします。

測定できるのは、表面の温度のみで中心温度の測定はできません。

食品業界では、食材の受け入れ時の温度管理、食材を炒める前のフライパンの温度管理などに使用されています。

放射温度計の特徴はなんと言っても測定の素早さです。

測定ボタンを押した0.5秒~1秒後には温度を表示しています。

そのため、ラインを流れる食品の測定など素早い温度測定が要求される場所での使用にも向いています。

そんな放射温度計ですが、日常の点検や校正はどのようにしたらよいのでしょうか。

放射温度計の日常点検(校正)について

中心温度の校正は絶対に必要?やらないとどうなる?でも説明しましたが、温度計に校正は必須です。

使っているうちに、経年変化などでだんだんと温度がずれていってしまうからです。

そのため、数カ月おきに温度の点検を実施する必要があります。

余裕があれば1年に1回はメーカーで校正を行うのがよいでしょう。

それでは放射温度計はどのようにメンテナンス・校正を行えばよいのでしょうか。

まず、メンテナンスですが食品で放射温度計を使う場合、油などの汚れがケースにつきやすいです。

できれば、毎日使い終わったら乾拭きをすることをオススメします。

放射温度計は防水になっていない製品が多いので、基本的には水拭きではなく乾拭きです。

フライパンで炒めている食材の温度測定をしようとすると、湯気に含まれた油が放射温度計のレンズに付着してしまう事があります。

レンズに汚れが付くと、測定温度がずれてしまうので定期的に清掃が必要です。

レンズ部分は本体ケースから少し奥まったところにあるので、少し清掃が難しい箇所です。

綿棒などに柔らかい布をつけてやさしく拭くようにしましょう。

力を入れ過ぎて傷をつけない様にして下さい。

放射温度計の校正はどうやる

次に、温度の校正の方法ですが、放射温度計の校正は少し難しいです。

メーカーで校正を行う場合は黒体炉という専用の装置を使っています。

こちらが黒体炉です。

右側の穴が開いている部分を放射温度計で測定をします。

かなり高額な装置のため、食品関係で黒体炉をもっている会社はほとんどないでしょう。

そのため、食品会社では別の方法で放射温度計を校正しなくてはなりません。

中心温度計の場合はシャーベット状の氷水を測定して0℃を校正、沸騰したお湯を測定して100℃の校正ができます。

0℃の場合は放射温度計でも氷水を使い校正ができます。

しかし、熱湯で100℃の校正をする場合は、湯気が出ているので湯気の温度測定もしてしまいます。

湯気の温度も測定してしまうと、正確に温度が表示されません。

そのため0℃でしか校正が出来ないのですが、1点だけでの校正では少し信頼性が弱いです。

放射温度計を2台持っていれば壁などを測定して常温で点検ができます。

それで同じ温度になっていれば問題ないと判断できるでしょう。

もし1台しか放射温度計を持っていない場合は社内で校正をするのは厳しいので、もう1台放射温度計を購入するか、メーカーに校正に出すようにしましょう。

まとめ:放射温度計の校正

中心温度計と比べると、校正が難しい放射温度計。

メーカーに定期校正に出すのが一番ですが、予算の関係で厳しいのであればシャーベットを使い0℃で校正をしましょう。

また、放射温度計を2台持っている場合は、壁などの温度を同時に測定して誤差がないか調べるのが有効です。

できる範囲でしっかりと校正をして正確な温度測定をしましょう。

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