中心温度計の選び方①精度

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精度ってなに?

測定器を選定する際に一番重要なのが精度です。

精度とは簡単に言うとその温度計が何℃ずれるかを表すものです。

例えば「測定精度:±1℃」と記載があれば、その温度計は正しい数値から上下に1℃ずつずれる可能性があります。

具体的にいうと、同じ±1℃の精度の温度計を使用して10℃の水を測定したときにある製品は11℃と表示する事もありますし、またある製品は9℃と表示する事もあります。

ただ、同じ温度計が測るたび表示値が変わり11℃と表示したり9℃と表示したりするわけではありません。再現性というものがあり基本的には11℃と表示するものは経年劣化しないうちはずっと11℃を表示します。

また同じように9℃と表示する温度計はずっと9℃を表示します。

測定器には必ず誤差があります。

この誤差を精度として表しているのですが、このことを知らないで温度計は必ず正しい温度(真の温度)を表示するものだと思っていると正しい使い方ができません。

すでに温度計をお持ちの方は、その温度計の精度がどれくらいなのかを把握して使用用途に合っているかを考えましょう。

これから購入される方はどれくらいの精度が必要なのかという事を確認してから購入しましょう。

食品の調理ではどれくらいの精度が必要なの?

さて、精度の重要性はわかっていただけたと思いますが、実際にはどれくらいの精度を求めればいいのでしょうか?
これは使用用途によって変わってくるので一概には言えないのですが、飲食店や食品工場では±1℃の精度があれば十分です。
たまにそのような場所で使用するのに±0.1℃の精度ものもが欲しいと言ってくる方もいらっしゃいますが、大半が精度のことをよく知らずに言っているだけです。
もし±1℃の温度計を購入しようと思うと10万円以上はします。研究用に1台持つのであればオススメしますが、この価格では現場で使うために何台も購入できないですよね。
また、この価格帯の製品は基本的に現場でタフな使用をする目的とはなっていないので、防水でなかったり堅牢性が無かったりします。本来、測定器とは精密なものなのであり高額な製品ほどその傾向にあります。
また、現場で使用する温度計が1℃ずれていたとして大きな問題が出るでしょうか?例えば冷蔵庫の温度を8℃以下で管理するという社内規定があるから駄目だという声が上がるかもしれませんが、その場合は冷蔵庫の温度設定を少し下げれば、温度計に1℃の誤差があったとしても社内規定に合格することができるでしょう。
加熱調理の際に1℃ずれた温度で調理をしたからといって味の違いが分かるような人はいないでしょう。
私はいろいろな現場で温度計が使われているのを見てきましたが、現場で使用する温度計は大きくずれていなければいいという感覚で選んだほうが後々苦労していません。HACCPを導入したら温度計の校正は必ず必要になってくるので、精度にはそこまで神経質にならずに温度計の選定をしましょう。

現場用の温度計はどんなものがあるの?

 

ご紹介できる製品はないかと探していたらかなりいい製品を見つけました。

CHINOのMF500 販売価格7,480円(税込み)

別の記事で書いたとおり中心温度計には大きく分けて表示部とセンサがくっついている一体型と、コードで繋がっている分離型があります。こちらは一体型です。

海外から入荷してノー検査で出荷して不具合が出たら交換すればいいと思っているメーカー、抜取検査をしているメーカー、全品検査をしているメーカーなどいろいろです。

CHINOは品質では定評がありますのでおそらく全品検査をしているのではないでしょうか。

この製品のいいところはまず防塵防水等級がIP67ですので、丸洗い可能なところです。食品の現場で衛生を保つには丸洗いできることはとても重要です。

それと精度が -9.9〜99.9℃を測定した場合に±0.5℃±1digitです。

なにやら見慣れないdigitと言うのがありますがここでは±0.1℃だと思ってください。

つまり、±0.5℃と±0.1℃で精度は±0.6℃となります。

そして反応速度も2秒とかなり早い。

一般的な温度計では1~2分かかることもざらです。

一体型の温度計はこれを選んでおけば間違いないのではないかという高性能です。

ひとつ難点を見つけるとしたら、防水構造になっているため電池の交換ができないようです。

ただ、1日3時間使用しても2年持つようなので十分ではないでしょうか。

先ほどの記事でも書いてある通り一体型は消耗品です。

使い方にもよりますが大体の場合2年経つ前に破損して買い替えとなるでしょう。

そのことを考えると電池交換できないのもデメリットにはなりません。

次に分離型温度計のご紹介です。

こちらは佐藤計量器製作所のSK-270WP(標準センサー付き)です。

佐藤計量器製作所は食品用温度計ではかなり有名なメーカーです。

一時期はほとんどの学校給食センターで佐藤計量器製作所の温度計が使われており、中心温度計と言えばSATOという人も多くいます。

こちらのSK-270WPは標準価格で21,780円(税込み)です。

先ほどの一体型の製品と比べてセンサーと表示部がコードで繋がっている分離型は堅牢性があります。

そのほかのメリットとしては手元で温度が確認できるので温度表示を見やすい、高い温度まで測定できる、別の形状のセンサと交換できるなどがあります。

こちらのSK-270WPの良いところは、現場で使う人の気持ちになって作られているところです。

さすが食品用温度計の第一人者だけあって、女性にも持ちやすい形にしてあります。調理施設で実際に調理を行っているのはパートさんと言うことが多いです。つまり女性に使いやすい製品が食品業界では好まれます。

こちらのSK-270WPは表示部から持ち手にかけて細くなっており女性の小さな手でも難なく持つことができるようになっています。

また、タイマー機能もついており、中心温度で75℃・1分を測定する際にわざわざ時計を見ながらではなくても、温度計の表示部だけで完結できます。

スペック的なところでは測定精度が±0.7℃(ー9.9℃~105℃の測定の場合)です。

あれ、先ほどの安い温度計よりも精度が落ちるじゃないかと思われるかもしれませんがそれは仕方が無いことです。

測定器というのは構造が複雑になるほど精度を良くするのが難しくなります。

表示部とセンサーが分かれているため、「表示精度」というものが出てきてセンサーの精度だけではなくなります。

価格が違うのにあまり精度が変わらないことはよくありますが、これが測定器の面白いところかもしれませんね。

±0.7℃というのは全然悪い精度ではないので、食品の現場で使用するのであればまったく問題ありません。

交換用のセンサーも何種類かあり用途に合ったセンサーに交換することが可能です。

中心温度だけではなく、揚げ油の温度・冷凍庫の温度など幅広い用途で使用したいときはSK-270WPのような分離型の温度計がオススメです。

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