毎日のように使用する中心温度計ですが、何年も校正(点検)をしていないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、中心温度計の校正は必要なのか・校正するのであればどのような方法があるのかを解説します。
中心温度計の正しい扱いを知り、衛生管理の質を高めていきましょう。
中心温度計における校正とは
中心温度計はどうやって校正を行うの?

中心温度計の校正は以下の2パターンがあります。
①メーカー校正を行う
②自社で校正を行う
メーカーで校正を行う
メーカーで校正を行う場合は、普段使用している中心温度計をメーカーに預けて、メーカーで点検をします。
この場合、トレーサビリティ校正を行うことが一般的です。
ISO9001の認証工場ではトレーサビリティ校正が必須となっています。
メーカーでの校正は以下のような手順でおこなわれます。
①オイルバスと呼ばれる、水などを一定の温度に保つ機械に中心温度計を挿入する
②オイルバスに基準となる温度計も差し込んで、中心温度計との温度がどれくらいずれているかを確認する

校正に合格すれば、校正証明書・校正成績書・トレーサビリティ体系図の3点セットが付いてきます。
通常、校正は輸送の期間も含めて納期が1ヶ月近くかかります。その間、別の温度計を用意して普段の温度測定をしなくてはなりません。
校正に出している間に使用する別の温度計も、数値が正しいかどうかの確認も必要となります。
複数台の中心温度計を校正に出す場合、結構な手間とコストがかかります。
校正はメーカー毎にかかる費用は変わってきますが2万円~3万円ほどです。
また、校正する温度もメーカーによって異なります。
希望の温度ポイントがある場合は、見積もりをとる際に必ず伝えるようにしてください。
自社で校正を行う
自社でおこなう校正は、校正設備がないので、あくまで簡易的な校正です。
校正の方法は、0℃と100℃で温度がずれていないかを確認します。
まず、0℃での校正は、氷を砕いて水と混ぜてシャーベットを作ります。
そこに使用している中心温度計を差し込んで、中心温度計の温度が0℃になるか確認をします。
精度が±1℃の場合は、温度計が+1℃またはー1℃を表示したとしても精度内となります。
続いて100℃の校正は、鍋にお湯を沸騰させた状態で温度を測定します。
中心温度計のセンサーが鍋の底についてしまうと、熱源が近くなり高い温度を表示してしまうので注意してください。
自社での校正は、メーカーのようにプロの技術員が、整った校正環境で校正をするのとは異なります。
そのため、必ず精度どおりの数値になるとは限りません。
少し温度に余裕をもって校正するといいでしょう。
温度計の数値がずれる可能性は経年変化だけではありません。
例えば周囲の気温・センサの挿入方法・センサーを挿入している時間などによっても表示する温度がずれます。
そのため、例えばその中心温度計の精度が±1℃だった場合に、校正の基準を±1℃にするのではなく、少し余裕をもって±1.5℃や2℃に設定しておくと校正作業が楽になります。
校正を行って社内で決めた精度から外れてしまった場合は、温度計を新品に交換するかメーカーに修理に出すようにしましょう。

校正はどのくらいの期間で行えばいいの?

できれば基準器を持とう

校正をする際の基準となる値とする、基準器と呼ばれるものがあります。
普段現場で使用している温度計よりも精度が良く、校正のときにだけ使う温度計です。
これを1台もっていると0℃と100℃の校正を自社で行うときにも、その基準器と比べて何℃ずれているか分かるので校正の作業がとてもはかどります。
何℃ずれているかが分かったら、普段使用するときにそのずれを補正して測定をすれば真の温度を測定することができます。
食品の現場では昔から下記の標準温度計と呼ばれるものが使われてきました。
標準温度計は50℃毎に区切られて製造されています。
この標準温度計は0~50℃です。
100℃付近でも校正をする場合は、50~100℃を別に用意しなくてはなりません。
少し面倒ですが標準温度計のメリットは経年変化がとてもすくないことです。
精度が±0.2℃ととても高いのに5年・10年と使い続けられるものです。
そのため以前から標準温度計は基準器として使われてきました。
デメリットもあります。
ひとつは先ほどの50℃刻みでしか製造していないことですが、もうひとつは素材にガラスと水銀が使用されていることです。
ガラスは破損させてしまった際に飛び散り異物混入につながります。
また水銀が体内に入ってしまうと悪影響があるので、大手の食品工場などでは絶対に持ち込むことができません。
そのため、近年ではデジタルの精度が良い温度計が人気となっています。
こちらはサーモポートのピーティーサーモ プレミアムです。
測定精度が±0.15℃(0~200℃の測定)と標準温度計よりも高精度です。
これだけの精度があれば、基準器として使うのにまったく問題はありません。
また水銀も使用しておらず防水機能も付いているので、現場に持っていってもまったく問題ありません。
まとめ
中心温度計は経年変化により、温度がずれることがあります。
温度がずれていないか確かめるために、定期的な構成が必要です。
しかし、校正の周期は使う環境によって異なるので、自分で決定しなくてはなりません。
なるべく頻度を多くするために、自社で基準器となる高精度な温度計を持つと良いでしょう。
せっかく温度を測定するのですから、正しい温度を測れるように体制を整えましょう。