中心温度計の校正は絶対に必要?やらないとどうなる?

測定器における校正とは

校正ってあまり聞きなれない言葉ですよね。
例えば出版社や新聞社での校正とは、原稿の誤字脱字のチェックや全体のレイアウトチェックなど誤りが無いか確認をする作業のことを言います。
これが測定器の世界での校正は「使用している測定器の数値が正しいかどうか」を確認する作業となります。
測定器には必ず精度というものがありますが、長い期間使用していると経年変化で数値がずれてくることがあります。
そこで期間を定めて測定器の校正を行わなくてはなりません。
もし定期的に校正を行わないと数値がずれているのに気が付かずにずっと使い続けてしまうことになります。
これが原因で製造した食品に不具合があった場合は全ロット回収なんて話にもなりかねません。
測定器は必ず数値がずれてくると言うことを頭に入れて定期的に校正を行うようにしましょう。
HACCPでも定期的な測定器の校正が決められています。
 

中心温度計はどうやって校正を行うの?

中心温度計の校正は①メーカー校正を行う、②自社で校正を行うの2通りあります。

①メーカーで校正を行う場合は普段使用している中心温度計をメーカーに預けて、メーカーで温度の点検を行ってもらいます。

この場合、トレーサビリティ校正と呼ばれる校正を行うことが一般的です。ISO9001の認証工場ではトレーサビリティ校正が必須となっています。

トレーサビリティ校正については今後記事にしていきたいと思いますが、メーカーではどのように校正を行うのでしょうか。

基本的にはオイルバスと呼ばれる水などを一定の温度に保つ機械を使います。これに基準となる度計を差し込んで、あなたが預けた普段使っている温度計がどれくらいずれているかを確認します。

こちらは日本計量器工業㈱の校正証明書のサンプルです。メーカーに校正に出すと校正証明書・校正成績所・トレーサビリティ体系図の3点セットが付いてきます。

メーカーに校正に出せば間違いないのですが、校正は納期が1ヶ月近くかかることが多いです。その間、別の温度計を用意して普段の温度測定をしなくてはなりません。

校正に出している間の別の温度計も数値が正しいかどうかの確認も必要となるので結構な手間とコストがかかります。

ちなみに、校正はメーカー毎にかかる費用は変わってきますが2万円~3万円ほど見ておくといいと思います。

また、校正する温度もメーカーによって異なるので希望のポイントがある場合は、見積もりをとる際に必ず伝えるようにしてください。

次に②自社で校正をする場合ですが、こちらは0℃と100℃で温度がずれていないかを確認します。

まず0℃の作り方ですが、氷を砕いて水と混ぜてシャーベットを作りましょう。それでしばらく置いておくと0℃になります。

そこに使用している中心温度計を差し込んで0℃になるか確認をします。その際には中心温度計の0℃での精度を確認しておきましょう。

±1℃の場合は温度計が+1℃またはー1℃を表示したとしても精度内となります。また、ポイントとしてメーカーのようにプロの技術員が整った校正環境で校正をするのとは異なります。そのため、必ず精度どおりの数値になるとは限りません。

温度計の数値がずれる可能性は経年変化だけではありません。例えば周囲の気温・センサの挿入方法・センサーを挿入している時間などによっても表示する温度がずれてきてしまいます。

そのため、例えばその中心温度計の精度が±1℃だった場合に、校正の基準を±1℃にするのではなく、少し余裕をもって±1.5℃や2℃に設定しておくとのちのち困ることがないでしょう。

校正を行って社内で決めた精度から外れてしまった場合は、温度計を新品に交換するかメーカーに修理に出すようにします。

校正はどのくらいの期間で行えばいいの?

校正はどのくらいの周期で行えばいいのでしょう。これは本当に多い質問です。ただ困ったことにこの質問に対する明確な答えはありません。
それは、使用する頻度や環境によって経年変化の具合は変わってくるからです。かなり過酷な現場では1ヶ月ごとに校正を行ったほうがいいですし、ほとんど使用しないなら1年に1回、2年に1回でも十分です。
本来校正の周期はユーザーとなるあなたが決めるものです。製品によって経年変化が多い製品少ない製品がありますのでメーカーの意見を聞きながらではありますが。
普段使用する温度計なら1年に1回を目安として、そこから自社の環境に合わせて増減させていくのがいいのではないでしょうか。
 

できれば基準器を持とう

測定器の世界には基準器と呼ばれるものがあります。

それは普段現場で使用している温度計よりも精度が良く、校正のときにだけ使う温度計です。

これを1台もっていると0℃と100℃の校正を自社で行うときにも、その基準器と比べて何℃ずれているか分かるので校正の作業がとてもはかどります。

何℃ずれているかが分かったら、普段使用するときにそのずれを補正して測定をすれば真の温度を測定することができます。

食品の現場では昔から下記の標準温度計と呼ばれるものが使われてきました。

皆さんもガラスの赤い液体が入った温度計は使ったことがあると思います。これはその赤液ガラス温度計の良いバージョンと思ってください。

標準温度計は50℃毎に区切られて製造されています。この標準温度計は0~50℃です。100℃付近も測定したいなというときは50~100℃を別に用意しなくてはなりません。

少し面倒ですが標準温度計のメリットは経年変化がとてもすくないことです。精度が±0.2℃ととても高いのに5年・10年と使い続けられるものです。

そのため以前から標準温度計は基準器として使われてきました。

ただ、デメリットもあります。

ひとつは先ほどの50℃刻みでしか製造していないことですが、もうひとつは素材にガラスと水銀が使用されていることです。

まず、ガラスは破損させてしまった際に飛び散り異物混入につながります。また水銀も体内に入ってしまうと悪影響があるので大手の食品工場などでは絶対に持ち込むことができません。

水銀は世界で規制が強化されており、水銀を使った製品の製造はかなり規制されています。標準温度計は水銀を使わないと他に代替ができないと言うことで製造が許可されていますが、時代の流れに合わないこともありだんだんと生産は少なくなってきています。

このような流れから近年ではデジタルの精度が良い温度計が人気となっています。

こちらはサーモポートのピーティーサーモ プレミアムです。

サーモポートは小規模なメーカーながら品質の良いもの作りをしているので、食品用温度計の業界でも近年シェアを伸ばしている会社です。

ピーティーサーモというネーミングセンスはどうかと思いますが、とてもいい製品です。

まず測定精度が±0.15℃(0~200℃の測定)です。

これだけの精度があれば、基準器として使うのにまったく問題はありません。

また水銀も使用しておらず防水機能も付いているので、現場に持っていってもまったく問題ありません。

ただ、販売価格で7万円近くするので現場で毎日使用して消耗するのはもったいないです。必ず校正用としましょう。

7万円と聞くと高いと思われるかもしれませんが、これくらいの精度いい温度計では一般的な金額です。

この温度計にはPt100と呼ばれるものがセンサーに使われています。Pt100とはプラチナのことなのですが、非常に安定しており再現性も良く温度測定ができるので昔から高精度の温度計にはよく使われています。

高価な材料を使用しているのでこれだけ高くなってしまうのは仕方の無いことなんですね。

この温度計を1台持っていれば社内での校正も怖いもの無しです。

基準器が無くても校正はすることができますが、できれば基準器は1台持ってより確かな校正をするようにしましょう。