寸胴鍋用の温度計とは
一般の家庭ではなかなか使いませんが、飲食店や食品工場には必ずあると言っていい寸胴鍋。
たくさん煮物を作ったり、ラーメンのスープを作ったり、そばのつゆを作ったりいろいろなことに使われています。
そんな寸胴鍋ですが、容量が大きいため上と下、左と右で温度が違うなんて事が良くあります。
また、煮込む際にコトコト煮込むのか、グツグツ煮込むのかによって温度の調節をしなくてはなりません。
意外と難しい寸胴鍋の温度管理。
本日は寸胴鍋用の温度計をご紹介したいと思います。
オススメの寸胴なべ用温度計
こちらは佐藤計量器製作所の寸胴用バイメタル温度計BM-R-75です。
バイメタル温度計というのは、2種類の異なる金属を張り合わせて、膨張率の違いにより金属にゆがみが生じるので、その動きを温度測定に使う温度計です。
BM-R-75にはクリップが付いていますので、感温部をどの程度 寸胴鍋に挿入するかを調節することが出来ます。
測定をする際に感温部が寸胴鍋の底についてしまうと、火に熱せられている部分の温度も拾ってしまうので正確には測定できません。寸胴鍋の底から数センチは浮かせるようにしましょう。
BM-R-75は120℃まで測定することができますが、もし寸胴鍋の底に感温部が触れてしまうと120℃を超えてしまうことがあります。
先ほどお伝えしたようにバイメタル温度計は熱による金属の膨張を利用して温度測定をしていますが、測定範囲を超えて膨張してしまうと上手く収縮できずにセンサーが壊れてしまうことがあります。
そのため、必ず使用温度範囲内で使うようにしましょう。
また、目盛りの部分が45度に傾いているので、温度の確認がしやすいようになっています。こうした細かな配慮がうれしいですね。
防滴仕様となっていますので多少水滴がかかっても大丈夫です。水没は出来ませんのでご注意ください。
また、材質はステンレス製です。
水没は出来ないといっても先端の感温部の部分でしたら、水に浸けて丸洗いできますので衛生的に使うことが出来ます。
目盛りの辺りは水につけることはできませんので、洗うときには気をつけてください。
デジタルの寸胴なべ用温度計はないの?
デジタル式の寸胴なべ用温度計は無いのかと聞かれることがあります。
あるにはあるのですが私としてはあまり紹介したくない製品です。その理由としては寸胴鍋用の温度計は寸胴鍋からの上記が大量に当たるからです。
他の記事を読んでいただいている方はピンと来るかもしれませんが、デジタル温度計に水蒸気は大敵です。(もちろんアナログの温度計も蒸気が当たるのは良くないのですが、デジタル温度計ほど早くは壊れない事が多いです)
また、デジタルとアナログの違いとして、アナログは一瞬で温度を把握できると言うことがあります。
デジタルの場合は、液晶に表示された数値を読み取る必要がありますが、アナログの場合は針の位置でだいたいの温度を把握できます。
寸胴鍋は多くの場合、いつも温度は一定となっています。温度変化が少ないものを測定するときはアナログ式のほうがちらっと見るだけでだいたいの数値を読み取れるので便利です。
これは車のスピードメーターにも言える事です。最近はデジタル表示のスピードメーターも増えてきましたが以前はアナログ式のものしかありませんでした。車のスピードは今キロメートルで走っているのか具体的な数値を確認するよりも、運転中のためチラッとスピードメーターを見て一瞬でおおよそのスピードを把握できることが重要です。
最近は何でもデジタルのものが増えてきていますが、アナログにはアナログの良さがあります。自分の測定する環境ではデジタルがいいのかアナログがいいのかしっかりと考えてから購入をしましょう。
このような理由から、寸胴なべ用温度計ではデジタルは紹介しません。どうしてもデジタルがいいという方は、メーカーに問い合わせてみてください。オススメはできませんが。
まとめ
寸胴鍋用の温度計で測定することにより、味を一定に保てたり、お客様へ提供する料理の温度を一定に保つことができます。
煮込む温度が高すぎると煮込みすぎて味が濃くなってしまいます。また温度が低いと味がうまく出なかったり、食材に火が通っていない状態になってしまいます。
あなた一人であればこれまでの経験から間違えることは少ないと思いますが、他の人も調理が出来るようにしておくのは大切なことです。
温度は何℃、煮込み時間は何分とマニュアルを作っておけば後々役に立つでしょう。
繁盛している飲食店の方から、もう一つ店舗を出したいと相談を受けることがあるのですが、そのときに困るのは同じ味を支店で出せるかと言うことです。
1店舗のみの飲食店の方は、店主が料理を作っており調理マニュアルが無いところがほとんどです。
そのため、どのように同じ味を作るのかと言うことが出店に際して一番のネックになります。
今のところ新規出店の予定は無くても、測定器を使い調理マニュアルを作れば後々かならず役に立ってきます。
デジタルとアナログの違い、それぞれの良さを知り、自分の環境に合った温度計を選定しましょう。