パンの製造における温度管理は大変!?

パンの製造における温度管理とは

パンの製造現場は食品関係の中でも温度計がよく使われます。

まず、パン生地を捏ね上げた時の「捏ね上げ温度」があります。

パン生地は捏ね上げてから発酵させますが、この発行の具合によってパンの味が決まるといっても過言ではありません。

捏ね上げた時の温度によって発行の具合が変わってくるので、パンの製造には捏ね上げ温度が重要となります。

捏ね上げた時の温度が重要という事は、パン生地の温度に影響をあたる室温(湿度も)重要となります。

また、捏ね上げる前には小麦粉と水を混ぜ合わせますので水の温度も大切です。

このように、パンの製造工程には温度管理をしなくてはならないポイントがいくつもあります。

それぞれの工程でどのような温度計を使っていけばよいのでしょうか。

それぞれの工程に適した温度計

まずは捏ね上げ温度と水温の測定に適した温度計ですが、これには中心温度計を使います。

また、パンの製造では正確でスピーディな温度測定が求められるので反応速度が速い温度計が向いています。

水の温度も捏ね上げ温度も、もたもたしているうちにすぐに温度が変わってしまいます。もし水温の測定に何分もかけているようだと狙った水温にするのは至難の業でしょう。

かといって、温度計が反応しきる前に測定をやめてしまっては正確な温度を測定することは出来なくなりますので本末転倒です。

そのため、パンの製造ではスピーディーに測定できる温度計が必要となります。

反応速度についてはこちらの記事をご覧ください。

中心温度計の選び方③反応速度

こちらはCHINOのMF1000-Mです。

こちらはセンサーにK熱電対を使用していることと、感温部(先端の針状の部分)がφ1.6と細くなっていることから反応速度がとても早くなっています。

その反応速度はわずか0.2秒です。

例えばサーミスターセンサーを使用した温度計ですと、1分以上かかることは普通です。同じ熱電対センサーだとしても10秒以上はかかります。

このMF1000がとびぬけて早くなっています。

また、測定精度も±0.5℃ですのでこちらもいう事なしです。

同じ価格帯の中心温度計の測定精度はだいたい±0.7℃~1℃が一般的です。反応速度も早く精度も良いとなれば使わない手はないですね。

ただ、一つ難点を上げるとすればセンサーの種類がないことです。パンの捏ね上げ温度や水温の管理だけであれば標準でついてくるセンサーで問題がないのですが、例えば油の温度を測定する、蒸気がもくもく出ているものを測定するなどといった場合は、もっと長いセンサーが欲しいところです。

次に室温(湿度も)の測定ですが、パンの製造現場での温湿度測定は少し難しいです。

正確に言うと難しいというより温湿度計がすぐに劣化してしまいます。

その温湿度計大丈夫!?ずっと放置したままになっていたら危険でもご説明していますが、湿度センサーはチリやほこりがセンサーにつくとすぐに正確に測定できなくなってしまいます。

という事は粉物を扱うパンの製造現場ではすぐに劣化してしまいますね。

おそらく半年と持たないところが多いかと思います。

基本的にこれはどうしようもないので、すぐに壊れてしまうものだと思って使いましょう。

完全な対策ではありませんが、粉が待っているところから離して設置すると少しは長持ちします。

ただ、あまりに離しすぎると製造現場との温湿度が変わってしまうかもしれませんので、離しすぎは禁物です。

こちらはタニタのTT-580です。

この製品のよい所はグラフでこれまでの変化を見られるところです。

これまでの最高値・最低地を見られる温湿度計はたくさんありますが、このようにグラフで見られる温湿度計はありませんでした。

これがあれば異常な数値になった時間帯を把握できるので、原因を特定しやすくなります。

精度も一般的な水準で金額もそれほど高くないので、しっかりと温湿度を管理したい方にはお勧めです。

こちらは佐藤計量器製作所のPC-5400TRHです。

こちらの製品の特徴は液晶が大きいことと、アラームがなることです。

広い食品工場で使用する場合は液晶が大きくて少しでも遠くから温湿度を確認できたほうが便利です。

また、アラームも鳴らすことができるので異常な数値になったらすぐに気が付くことができます。

あ、佐藤計量器製作所は温湿度計の専門メーカーですので、数値に信頼性があります。もし、ISO9001用に校正が必要な場合は佐藤計量器製を選ぶといいでしょう。

まとめ

パンの製造工程では温度測定が必要なポイントがたくさんあります。

練り上げ温度、水温の測定では正確にスピーディーな測定が要求されますので、なるべく反応速度の速い温度計を選定するようにしましょう。

また、製造現場の室温測定では湿度も測定をする必要がありますが、粉物を扱っている現場では湿度センサーの劣化がとても早まります。

いつの間にか湿度の数値がくるっていたなんてことも起こりますので、消耗品と考えてなるべく早く買い替えをしていくようにしましょう。