トレーサビリティ校正って普通の校正とは違うの?中心温度計も校正できる?

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校正ってなに

校正とは、測定器が示す数値が正しいかどうかを確認するための作業です。

校正の内容についてはこちら

校正でどのようなことを行うかについては上記の記事で説明していますのでご覧ください。

測定器は長い間使用していると必ず経年変化をして数値がずれてきます。そのため、定期的に数値に問題が無いかを確認しなければなりません。

数値がずれていることに気が付かずに使用していると、製造した食品がしっかり加熱されていなかったなど思わぬ損害が発生してしまう可能性があります。

どうせ温度を測定するのならば、しっかりと温度測定ができるように定期的に校正を行っていきましょう。

校正にはどんな種類があるの?

一口に校正といってもいくつか種類があります。温度計の業界でよく行われる校正は下記の4種類です。

①自社校正

②トレーサビリティ校正

③JCSS校正

この3種類の校正は①が一番信頼性が低く、③が信頼性が高くなっています。

①はその名の通り自分の会社で校正を行うことです。

氷を砕いたシャーベットを用意して0℃で校正をして、沸騰させた100℃のお湯で校正をします。

自社(ユーザー)で校正を行う場合は、校正設備も整っておらず作業員もプロの技術員ではないため、誤差が出る要因が大きくなってしまいます。そのため、メーカーで行う信頼性は低くなっています。

信頼性は低いといっても、メーカーの校正と比べてなわけですので、自社校正を行うと行わないでは天と地ほどの差があります。

自社校正でもしっかりと情報を調べて行えば、誤差はそれほど大きくはなりません。メーカー校正と比べて信頼性が低いと言っても、しっかりと記録をしていけば取引先に提出できるレベルになるでしょう。

②のトレーサビリティ校正は「追跡可能な校正」という意味です。トレーサビリティという言葉はいろいろなところで使われているので想像が付く人も多いのではないでしょうか。

例えば、スーパーの野菜売り場などに行くと、私たちが作りましたと顔写真やプロフィールが飾ってあることがあります。あれもトレーサビリティです。この野菜は誰が作ったのかということを生産者まで追跡ができると、購入者も安心できます。そのため、トレーサビリティというのは信頼性を得るのにとても役立つんですね。

それでは校正でトレーサビリティというのは何を追跡可能なのでしょうか。

こちらはサーモポートのトレーサビリティ体系図のサンプルです。

少し小さいので見にくいかもしれませんが、一番下の四角の中に書いてあるのが「校正依頼品」です。つまり、あなたが普段使用している温度計のことです。一番上の四角の中が「国家標準」です。日本の温度は国家標準が基準となっているので、国家標準が示す温度が誤差の無い正しい温度です。

その国家標準と日本電気検定所や産業技術総合研究所が保有している温度計と比べて校正を行います。今度はその温度計とメーカーが持っている温度計を比べて校正をします。

そして、最後にメーカーの温度計とみなさまから預かった温度計を校正するという流れです。

こうすることにより、あなたが今使っている温度計は国家標準にトレーサビリティ(追跡可能)な温度計となるわけです。

自社校正よりも信頼性があるといった意味がお分かりになったのではないでしょうか。

自社での校正用にトレーサビリティ校正をした温度計を1台持つといいのではないでしょうか。

次に③のJCSS校正です。

JCSS校正は②のトレーサビリティ校正よりも信頼性が高いです。JCSSはJapan Calibration Service System の略です。

JCSS校正は国から認定を受けた機関だけが行うことができます。かなり厳しい審査があり、使用する校正機器もトレーサビリティ校正を行う機器とは別の専用のものを用意しなくてはなりません。

JCSS校正の校正書類には下記のようなマークが付されます。

このマークをつけられるのはJCSS校正の認証を受けた機関だけが使用することができます。また、トレーサビリティが確保されていることが証明されていますので、トレーサビリティ体系図を添付する必要はありません。

JCSS校正についてはまた別の記事で詳しく説明しようと思いますが、現段階では信頼性のかなり高い校正だと認識して置いてください。

トレーサビリティ校正はどのようなときに必要なの?

自社校正をしっかりやればトレーサビリティ校正は必要ないのではないかと考えるのではないでしょうか。小規模事業者がHACCPを導入する場合はそれで間違いはありません。

トレーサビリティ校正が必要なのはISO9001を取得している場合や、取引先から以来があったときに必要となります。

ISO9001で温度計が管理項目となると必ずトレーサビリティ校正が必要となります。

それ以外の場合では、取引先から自社校正では信頼性が低いのでトレーサビリティ校正を行って欲しいと言われることがあります。これ以外の場合ではトレーサビリティ校正は必須ではないでしょう。

ただ、先ほども書いたとおり1台でも自社にトレーサビリティ校正をした温度計があるとより校正がしっかりしたものとなります。

もし余裕があるようでしたら、1台はトレーサビリティ校正に出して、それを社内の基準器として校正を行っていくのがよいでしょう。

自社の基準器を購入するなら下記のような精度のよい温度計がオススメです。

下記の製品はトレーサビリティ校正付きの製品です。

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