はじめに
厨房や商品工場で毎日のように使用する中心温度計。
「普通に使っているはずなのに、壊れるのが早いような・・」
「昨日まで使えていたのに、急に電源が付かなくなった!」
このような経験があるのではないでしょうか。
中心温度計が不具合を起こる原因はいくつかありますが、使い方が間違っている可能性もあります。
正しい使い方を覚えて、中心温度計が長持ちするようにしましょう。
温度計は精密機器だと認識しよう
前提として、温度計は精密機器です。
そのため、荒い使い方をすると破損をしたり、温度表示がおかしくなったりしてしまいます。
取扱説明書をよく読んでどのように使うのが良いのか、メンテナンスはどうするのかを覚えておきましょう。
食品業界は一品あたりの単価は高くありません。
そのため、温度計を一台壊してしますだけで、普段販売している食品の10個、100個分の利益が飛んでしまうのではないでしょうか。
できれば、数千円から数万円する温度計を壊したくはないですよね。
忙しい現場ですが、できる限り正しい使用方法を覚えて温度計を長持ちさせていきましょう。
温度計の故障の原因で多いのは何?
これまでに何台も故障した温度計を見てきましたが、9割が下記の3つの原因です。
①水蒸気によるセンサー内部への水分の浸入
②センサーのコードへの負荷による断線
③落下による本体ケース・センサーの破損
それぞれ解説していきます。
①水蒸気によるセンサー内部への水分の浸入
中心温度計には防水性能があります。
それなのにセンサーに水分が入っちゃうの?と思われるかもしれません。
防水性能と言うのは水に対する防御機能ですので、水蒸気に対しては機能しません。
お鍋など煮物を測定しようとすると、水蒸気があたってしまうことがあります。
水蒸気が少しあたったくらいでセンサー内部に水蒸気が侵入するわけではありませんが、確実に消耗はしていきます。
水よりも水蒸気のほうが粒子が細かいので、高い防水性能があったとしても、水蒸気がセンサー内部に侵入する可能性があります。
水分の浸入はセンサーの感温部(食材に挿入する部分)と持ち手の繋ぎ目の部分から侵入します。
つまりその部分に水蒸気が当たらなければ水蒸気の侵入を減らせます。
水蒸気のセンサー内への侵入を防ぐには、長いセンサーを使う必要があります。
水蒸気から、感温部と持ち手の繋ぎ目を離してあげれば水蒸気は当たりません。
上記は佐藤計量器製作所のSK-270WP(本体のみ)とS270WP-03(センサー)です。
このセンサーは感温部が40cmあるので、鍋から繋ぎ目部分を離して測定することができます。
ただ、先端が尖っていないので中心温度の測定には向きません。鍋物のつゆなど液体の測定用です。
中心温度計の選び方④防水性能
②センサーコードへの負荷による断線
家電などでもそうですが、コードの中には素線が入っておりその線が内部で切れてしまうと、断線と言って電気信号が届かなくなってしまいます。
断線しやすいのはコードの両端の部分です。
測定の際や特に保管の際に負荷がかかりやすい部分です。
例えば保管の際にコードを本体にぐるぐる巻いて保管すると、コードの両端の部分が常に曲がった状態で保管されるので断線しやすくなってしまいます。
電気製品のACアダプターなどで皆さんも断線の経験があるのではないでしょうか。
断線への対策はコードに負荷がかからないように、まっすぐな状態で保管・使用することです。
壁にフックをつけてそこにつるして保管しておくのもひとつの手です。
壁に吊るしておくと、調理台などへの交差汚染の心配もなくなるのでオススメです。
③落下による本体ケース・センサーの破損
温度計は管理者の方だけではなくパート・アルバイトの方など多くの方が使用します。
そのため、管理者の方は気をつけて使用していたとしても、他の方が落下させて温度計が破損してしまうこ可能性があります。
本体が落下するとプラスチック製のケースに亀裂が入ってしまいます。
亀裂が入ると温度計を洗う際に、水分が浸入して内部の電子基盤が腐食をしてしまいます。
腐食が進行するとそのうち電源が入らなくなります。
次にセンサーを落下させた場合ですが、センサーの先端に入っているセンサ素子(温度を感知している部分)に亀裂が入ってしまいます。
温度センサーは電気抵抗を使って測定しているのですが、亀裂が入ると抵抗値が高くなり常温でー50℃などかなり低い数値が表示されます。
逆にセンサーに水分が侵入すると抵抗値が高くなり常温で100℃など高く表示するようになります。
センサーの故障と思われる場合は、他にセンサーを持っていれば付け替えてみましょう。
それで温度表示が正常に戻るようであればセンサーの故障と判断できます。
まとめ
主な故障の原因を3つご紹介しましたが、故障の9割はこの原因によるものです。
つまりこの記事に書いてあることに気をつければ、ほぼ故障をすることなく使い続けることができます。
長く使い続けるためには、正しい使い方を知る・メンテナンスの方法を知ることが不可欠です。
忙しい中、使い方が荒くなってしまうことがあるかもしれませんが、なるべく長く使うためにもこの記事に書いてあることを少しでも実践していきましょう。