中心温度計の選び方とは
中心温度計の選び方が分からなくて、適当に目についたものを購入されてはいないでしょうか?
温度を測定するだけなら簡単なのですが、しっかりとした知識をもって選ばないとすぐに壊れてしまったり、思うような精度が出なかったりします。
これまで4回にわたって中心温度計の選び方を解説してきましたが、なかなか全部見ている時間は無いと思いますので、簡単にですがまとめて解説をしたいと思います。
まとめて書きますが、中心温度計を選定するならこの記事を読めば大丈夫というレベルにはしてあります。
よりしっかりした知識を付けたい方は各記事をじっくりと読んでください。
精度について
中心温度計に限らず測定器には精度というものがあります。
精度とは正しい値からどれくらいずれる可能性があるかという数値です。
例えば、精度が±1℃だとしたら、20℃を測定したときに21℃や19℃と表示される可能性があります。
一般的な中心温度計の誤差は±1℃前後です。
精度は±1℃を目安に中心温度計を選定するといいでしょう。
ただ、これが±1.5℃だからと言っても特に問題にはなりません。
精度が±2℃くらいになってくると食品用ではなく、もっと高温(500℃とか)まで測定できる製品の可能性が高くなってきます。
それでは用途が違ってきますので、精度は±1℃前後のものを選びましょう。
私の経験からですが、一般的な食品工場・厨房の場合それほど精度にシビアにならなくても製造した食品の品質に差は出ません。
測定した温度が正しい値から2℃ずれていたとしても、味にはほとんど影響は出ないレベルです。
センサーについて

この様に本体とセンサーがコードで繋がっている中心温度計はセンサーを交換できます。(一部出来ない製品もあるので注意して下さい)
購入時には標準センサーが付属していますが、食材に差し込む感温部の長さは10~15cmほどである事が多いです。
寸胴鍋の奥を測定したい時や沸騰している鍋の食材を測定したい時などは長さが少し足りません。
そんな時はオプションセンサーで感温部が長いものを追加購入すれば解決できます。
また、感温部の長いセンサーは熱源から持ち手部分を遠ざけることが出来るので、長持ちするようにもなります。
購入するときはオプションセンサーにどのようなものがあるかも確認しましょう。
反応速度について
毎日忙しい中での温度測定ですので、できれば反応が早い製品を購入して時間短縮をしたいですよね。
反応速度を売りにしている機種はスペックを見ると、だいたい反応速度〇秒と書かれています。
書かれていない製品は普通の反応速度(1~2分くらい)と思っていいでしょう。
反応速度はセンサーの種類と感温部の太さで決まります。
中心温度計の種類は熱電対かサーミスターという方式で作られています。
熱電対の方が格段に反応速度が速いので熱電対を購入するようにしましょう。ただ、熱電対だと精度が悪い製品がたまにあるので、しっかりとスペックを確認して購入しましょう。
こちらのTESTO108は10秒で測定できて、センサーの種類も豊富、金額も安価なのでおすすめです。
ちなみに精度も±0.5℃で測定可能です。
防水性について
毎日、水場付近で使用する中心温度計ですので、防水性能は大事ですよね。
防水にも等級がありますので、しっかりとした防水の製品を購入しなくてはなりません。
防水等級はJISで定められておりIPX〇と表されます。
最後の〇の部分の数字が大きいほど防水等級が高くなります。
一般的に販売されているのはIPX7までとなります。
IPX6か7でしたら水で丸洗いが出来ます。ただし、水没させての丸洗いは悪影響が出る可能性がありますので、蛇口から出てくる水を使って洗いましょう。
別の記事でもご紹介していますがこちらはCHINOのMF500です。
こちらは防水機能を高めるため電池の交換ができませんが、IP67です。
一日3時間の使用で2時間以上使えますので、電池交換ができなくても問題は無いでしょう。こういった一体型の温度計は2年経つ前に破損してしまうことがほとんどです。
IP67で防塵性能もあるため、小麦粉などの粉が舞っている環境での使用もできることがポイントです。
精度も±0.5℃( -9.9~99.9℃ の範囲)で、反応速度もわずか2秒です。
丸洗いもできて言うこと無しですね。
こちらは佐藤計量器製作所のSK-270WPです。
この製品もIP67ですので丸洗いできます。
佐藤計量器は食品業界でかなりのシェアを持っていますので、ノウハウが詰まっており非常に使いやすい製品と言えるでしょう。
センサーの種類も豊富で、感温部の長いセンサーや先端だけ細くなっているセンサーなどがあります。
形状について
中心温度計には一体型と分離型があります。

温度表示部のすぐ下に感温部がある形状のこちらが一体型です。
安価で精度・反応速度ともに問題ない製品が多いのですが、耐久性が低いことがあります。
硬いものの測定が多い場合には選ばないほうがいいでしょう。
ただし、消耗品と考えて壊れたらすぐに交換するくらいの気持ちでしたら安価なので使いやすい製品です。

温度表示部と感温部がコードで繋がっているのが分離型です。
一体型と比べると金額は高くなりますが、センサーの交換が出来たり温度の表示が見やすかったりとメリットがあります。
予算に余裕があるようでしたら分離型を揃えたほうが、測定時のストレスが軽減できるでしょう。
さいごに
本日は中心温度計の選び方のまとめを解説いたしました。
精度・センサー・反応速度・防水・形状など多くの事を考えて選定しなくてはなりません。
ただ、すべてを満たすことはなかなか難しいので自分の使い方にはどのスペックが必要なのかという事を考えて選定するといいでしょう。